* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number


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8番目の女








Roll 29 サード

 映画は演出部、撮影部、照明部、美術部、録音部、他多数のパートで構成されている(もちろん操演部もね♪)
 各部のトップは技師と呼ばれるが例外として演出部は監督、撮影部はカメラマン、美術部はデザイナーと言う。

 助手はそれぞれ上からチーフ、セカンド、サードと呼ばれるがこれは頭数の順に機械的に呼ばれていくわけではなく能力のクラス分けといった側面がある。

 責任者が技師で、現場を実際に動かしていくのはチーフ、セカンドがベテランスタッフならサードは新米という感じだろうか、兵隊の位で言えばヘンリー少尉が技師でサンダース軍曹がチーフ、リトル・ジョンやカービーがセカンド、サードは新兵と言えるだろう…ってたとえが古くてわかりませんかそうですか。

 ともあれ、助手が5人いても5番目がフィフスになるわけではないということだ、別段何の決まりがあるわけでもないが、雰囲気としては一番下っ端がともかくサードでそこは仕事が半分、勉強半分というクラスの人間が座るポジションであると言えるだろう。

(たとえばの話、撮影部のサードはカメラに触らせてもらえないし、操演部のサードはピアノ線を結ばせてもらえない「1人前と見なされていない奴」がサードなのだとも言える)

 というわけでチーフの下に助手が2人いたとしてどちらも一人前であるならば彼らは(そんな呼称はないけれど)セカンドの1、セカンドの2という風に扱われる。

 映画のクランクイン直前にはスタッフの初顔合わせ、通称「オールスタッフ」というものがおこなわれるが、ここではまず各パートごとに自己紹介がある、このとき「自分はセカンドの××です」と名乗った人間のあと「同じく助手の××です」と名乗る奴がいればそれは「おれはセカンドの下だけどサードじゃないもんね」という自己主張であると他のパートは了解するわけだ。

 いぜんCMの大作で(幕張メッセの中にサッカーグラウンドを作ったのだが)照明部が28人いたことがあった、これなどはほとんどがセカンドクラスと思われる、というのも短期決戦一発勝負のCMでは「人を育てながら使う」などという悠長なことはやっていられないのでサードクラスの居場所はない、そもそもあまりに使えない奴が現場をウロウロしているとスポンサーからクレームがつきかねないのだ。

 もちろん映画やTVとて助手を全員ベテランで揃えたほうが上は楽に決まっているのだが、古き良き徒弟制度のなごりがあって現場に人を育てることもまた仕事であるという意識が残っている、そこでサードとして仕事をさせながら教えるということになるわけだ。

(他のパートから「こいつはフォースです」と紹介されることがある、この場合紹介された人間はそいつのことを「ああ見学者ね」と普通は思う、サードよりさらに下ということはつまりは素人ということで、どこのパートでもそうそうお引きずりをかかえこむ余裕はないはずなので「今回彼は員数外でしょ?」と思うわけだ)


 さてではそのサードはいかにしてセカンドにクラスチェンジするのか? チーフに昇格する条件はどんなものか?、どうやって技師になるのか? という話は来週以降に続いてしまうのであった。


2002年05月01日掲載

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