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「今日もカメラは回る」 文・写真/根岸泉 --->Back Number |
Roll 35 プロデューサー 映画は演出部、撮影部、照明部、美術部、録音部、他多数のパートで構成されている(もちろん操演部もね♪)・・・というのはRoll 29の回の書き出しだが、ここで操演部が括弧に入っているのは、映画の編成にいつも加わっているわけではないからだ。 そのために時々必要なのに忘れられてしまう、予算編成の際予算を確保しておくのも忘れられてしまう、特殊なことを要しない作品ばかりやっているプロデューサーが仕切っていると危ない、予算編成表に「操演」という項目がないのかもしれない(・・ってそんな項目のある編成表のほうが特殊だが)。 そのためクランクイン直前になってから急に話がある、いやクランクイン直前ならまだしも本・番・直・前になって電話がかかってくることもある(というかよくある)。Roll 14で書いた国民的大女優を前日のTEL一本で吊るハメになった時の話などはそうだ。 普通、急な仕事を依頼する時には特別料金を支払うものだが、一円でも安くあげたいプロデューサーに常識は通用しない、その驚くべきネゴシエイト能力により、 「・・・というわけで、すっかり操演さんの協力が必要であることを失念していたもんですから予算も確保してなかったという状況でしてここは一つその辺でもご協力を・・・」などと抜かす。 『バカもん、自分の不始末を他人に押しつけるんじゃね〜』とか思う(がもちろん言わない)。 しかしこんなプロデューサーさえ正直者に思えるような辣腕家もいたりする。 特撮がらみの作品を多く作っているプロダクションの昔なじみのプロデューサーからある日電話があった、スチュワーデスが主人公のドラマを撮っているのだそうな、そして飛行機が嵐の中を飛ぶシーンがあるそうなのだが。 「航空会社からそういうフィルムを借りられるかと思っていたらダメみたいんだよね」って、『あんた、飛行機会社によっては旋回中の絵すらCMに使わせない(翼を傾けているさまが客に不安を与えることを怖れているのだ)のを知らんのか! そんなフィルムあったって貸すわけないだろが!』と思った(がもちろん言わない)。 仕方ないのでミニチュアの飛行機をカメラ前に吊り、フォグメーカーの霧をファンで流すという簡単な特撮カットを撮るハメになったのだという。 そして例によって。 「もう撮影入っているんだけどそんなわけで操演予算が全然ないんだよね〜」と言う。 こっちも長いつきあいなので。 「しょうがないなあ、で、いくらなら出せるのさ」と言えば 「いやもう全然なくってさ」 「いいから言ってみれば」 「だからナシ」 「?」 「一銭もない」 「本気でゼロ?」 「そう」 『この、大たわけが!』と言おうと思ったら、「だから悪いけど機材だけ貸してくんない? ピアノ線とバンクモーターとフォグメーカーとジェットファン」と言う。 「なに?自分達でやろうっての?」 「まあ、このくらいなら俺でも出来そうだし」 (ため息)「いいよ、ただで貸してやるから頑張ってね」 という話になった。 「いや助かったなあ、あとで誰か機材取りに行かせるからよろしくね・・ところでさあ撮影いま日活の9スタでやってるのよ」 「うん」 「多分このカット明日の夜になると思うんだよね」 「うん(?)」 「明日の夜、誰か日活の9スタに遊びにくるなんてことはないかね」 「バッカもん!」 言ってしまった。
2002年06月19日掲載
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