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水でうすめています


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 39 中国ロケ 第一の試練

 中国側のロケーションコーディネーターが確保した宿の名前は「上海石化療養院」となっていた。
「いったいにこれは何だ」というのが当然の我々の疑問であった。

 ことによって「石化病」という風土病があってその医療施設じゃないのかこれは? という不気味な想像をしたまま我々先発隊は出発した。

 しかし現地についておおいに安心したことには「石化」とは「石油化学」の略であり、「療養所」は日本で言う「保養所」を意味し、つまるところこれは「上海石油化学工廠工人療養院」の略であって石油コンビナートの作業員のためにつくられた施設なのであった。

 緑の多い、広い敷地に宿泊施設が点在するそこは日本でも上等に分類されるべきリゾート地であった。

 後発隊が到着するまで私はバス、トイレ、エアコン付きの3人部屋をひとり占めである、こいつは重畳と思ったのもつかの間、風呂に入ろうと思ったところが湯が出ない、というか蛇口のハンドルが空まわりして栓が開かないのだ。

 女性服務員を呼んで直してくれと言うと、彼女は社会主義国的無責任風に「私の担当ではないのでわからない」という「じゃあどうなるのか?」と問うと「明日には直る」とこれまた根拠のなさそうな返事をする、まったくあてになりそうな気配でない。

 しかたないので自分で直すことにする、私は中国に何があっても(というか何が無くても)OKなだけの機材を持ち込んでいる、当然工具箱にウオータープライヤーの一つくらいは放り込んであるのだ。

 修理はたちまち完了した、「日方工作員特技操作係(私はそう呼ばれるらしいのです)の腕をみたまえ」と誰に言うでもなく自慢して蛇口をひねると・・・真っ赤なお湯が流れ出しましたとさ。


2002年07月17日掲載

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