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せめて昼にはミソ汁を


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 41 中国ロケ 中衛賓館にて

 はるばるとやってきた西の街「中衛」、モンゴルに近く、ゴビ砂漠の南の端に位置するこの街にはそのさびれた印象とは裏腹に驚くほど立派な(そして古い)ホテルがあった。
 長安(西安)から西に向かうシルクロードのメインストリートからははずれているものの、ここは武威から北京へ向かう道の途中にあり、かつて物資が陸路で移動していた頃には栄えた街なのだろう。

 ゴチックホラーでも撮れそうなそのホテルに我々は10日間ほど滞在した。

 長い中国ロケも終わりに近く、皆中華な食事にあきあきしていたころである、外人に言わせると日本の食事はすべて醤油の味がするそうだが、中華は日本人に言わせればすべて油の味がする、なんでもかんでも揚げるか炒めるか、たまにはさっとあぶっただけとか、焼いただけなものが喰いて〜、というのがスタッフの魂の叫びであった。

 さて、このヨーロッパナイズされたホテルでは朝食はバイキングである。しかしパンとコーヒーとか、スクランブルドエッグにベーコンなどということはなく、朝からこってりとした中華バイキングなのであった。
 朝の早い撮影隊に合わせて早朝から大量にして多品種な食事を提供してくれる厨房には感謝の他はないのだが、眠い目をこすりこすり起きてきたところへ甘酢のたっぷりかかった蟹玉子などはやはり辛いのである。

 で一計を案じた。晩のうちに厨房にリクエストを出し、朝目玉焼きを出してくれるように頼んだのだ。さっぱりとした料理などと言っても何をどう発注すればよいかわからないが、玉子を割ってそのまま焼いてくれというだけなら間違いはない、これに日本から持ち込んだ醤油(醤油だよ)をかけて喰うのだ! (海外ロケには醤油や塩胡椒などの各種スパイスとふりかけ、海苔のつくだになどを持って出るのが基本だ)

 翌朝、「これを考えたおまえはえらい」などと発案者を誉めながら楽しみに待っていた我々の前にあらわれたのは・・・たぶん中国四千年の伝統を守るシェフには玉子を割って焼いただけなどというものは料理に見えなかったのだろう・・・甘酢あんかけのたっぷりかかった目玉焼きであった。


2002年08月07日掲載

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