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中衛−砂漠−


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 43 中国ロケ 中衛にて その二

 砂漠で撮影。

 休憩時間にひときわ高い砂丘にのぼってあたりを見回す。

 見渡すかぎりの砂丘だがしばらく見ていておかしなものに気が付いた。はるか地平線の彼方から他よりすこしばかり背の高い砂丘がとぎれずにずっと続いている、風で姿を変えるはずの砂山なのになんで一列だけ切れ目がないのだ?

 と思ってよく見ればその尾根だけは他と砂の色が違っている、他の砂は黄色いのにそこだけは色あせたように白っぽい。
 おまけに彼方のあの丘の盛り上がりは人工構造物? 更に気をつけて見てみればやや不明瞭ながらその色のちがう砂丘はこちらに向かって来ていて・・・おおっと、今自分が立っているこの場所がその尾根の連なりの延長ではないか!

 砂がかぶっていてちょっと見にはわからなかったのだが、足もとを良く見てみればそこには子供のにぎりこぶしほどの石が幅数メートル、頂点では高さ3〜4メートルに積み上げられた人工の尾根なのだ。他より少し高いのはあたりまえだ、しかし人の手になる石積みが地平線の彼方から続くってなんだ、見える範囲だけでも何キロもあるように見えるんだが、と思ってやっと気が付いた、これは万里の長城だ、万里の長城のなれの果てだ、ひときわ高いあの丘はかつての望楼だ。

 観光スポットである北京近郊の万里の長城を一般的な姿だと思いこんでいるとうっかりしてしまうが、万里の長城の築造は2000年くらい続いたのだ、「初期の頃は単なる土塁ですでに朽ち果てている」という記述をロケに出る前にどこかで読んだではないか、地図にもこのあたりに長城のマークがあったではないか、ここは中衛から銀泉に続く約100キロの長城の西の端なのだ。

 すげ〜〜〜〜と思いながら私は改めてあたりを見回し、この風景を見られただけでもこのロケに参加した甲斐があったと思い、写真を撮り、しゃがんで足もとの小石を数個ポケットにしまいこんだ(ひょっとして文化財の違法な持ち出しだったろうか?)


2002年08月21日掲載

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