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8ミリ映写機(レギュラー/スーパー、兼用機)


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 50 アニメーション同好会

 映画を作りたいというけれどそれは本当に映画なの? と聞いたら黙ってしまった高校生の話を前回書いた。
 想像するに彼らが念頭に置いていたのはまさしく「映画(フィルムで撮りスクリーンに上映する)」だったのだと思う、たぶんそれをどういう方法で実現するのかよく考えていないままに、みんなでやろうぜエイエイオーと盛り上がり私にmailを出し、それは8ミリカメラで撮るということ? と念を押されて初めて立ちはだかる障害に直面したのだ。

 もうすこし足もとを固めてからmailをよこせと思わないでもないが「映画を作るぜ! エイエイオー」という気持ちは充分に理解できる。

 まさしく私も高校2年の時に有志数名と共にアニメーション同好会を設立したことがあるからだ。

 今でこそ「アニメショップ」というものがあり、作品そのものから関連書籍、グッズ、フィギュア、そして自主製作に必要なセルやアニメ塗料、タップ(セルを固定する器具)までも売っていたりするが当時はそんなものはなかった。

 ともかくセルを入手しなくては始まらない、それがどういうものであるかは知っていたがどこで手に入るかは見当もつかなかった、透明な厚手のフィルム状のものって何だ?

 皆で悩んでいた時、学校近くの印刷屋がインスタントラーメンの袋を印刷しているのを見たと言う奴がいた、ラーメンの絵が印刷された幅20センチほどの透明なフィルムがロールで置いているあるのを見たというのだ「透明なフィルム」それだ!

 というので皆でぞろぞろとその印刷屋におしかけ、そんな感じなものでもう少し厚みがあって腰のあるフィルムが欲しいのだがと訴えた。
 人のことは言えない困ったちゃん達だが、その会社の人は我々を追い返しもせず、あれこれとアニメの製作技法について説明するのを聞いてくれ「だったらこんなのはどうだ」とロール状のフィルムを見せてくれた。

 しかも「これです、これ売ってください」と意気込む我々に「それやるから持っていっていいよ」と言ってくれるではないか!
 そのロールは我々の予定するセルを全てまかなえる量があった、狂喜する我々にその人は「まあせいぜいマンガ映画作り頑張ってね」とまで言ってくれたのだ。

<実は「アニメーション」と言っても通じなかったのでしかたなく「マンガ映画」と説明していたのだ、我々の映画は途中「人形アニメ」の技法も使う予定があったので「マンガ映画」と自称することには激しく抵抗があったのだが>

「マンガ映画」じゃないんだけどなー、と内心思いつつも我々が最大限の感謝を捧げたのは言うまでもない。

 次はアニメ塗料だ、というので今度は制作スタジオへ出かけた(アニメ塗料はアニメスタジオ以外では使われていないと考えられた)
 こんなマニアは一杯いるに違いない現在ではたぶんまともに相手してもらえないと思うのだがその当時は珍しいと思われたのか塗料の大瓶を何色か分けてくれた上にポスターカラーにホワイトボンドをまぜるとアニメ塗料の代わりになるという技まで教えてくれた。
 このように(いちいちは挙げないが他にもある)多くの大人/プロの協力を得て我々の(私の参加した最初の)映画は完成した。

 その時の借りは返さねばならない。

 だから今若い人に手を貸してくださいと言われれば出来る限りのことはしてあげようと思っている、もっとも「映画を作りたいというけれどそれは本当に映画なの?」と言われて絶句するようではこれは手の貸しようもない、ということなのだが。


<我々のアニメーションは半年の製作期間を経て完成し、その年の秋の文化祭に出品された、出来はさんざんなものであった、それは我々の山のように高い目標と谷のように低い技術のせいであったが、実のところそればかりではなくアマチュア映画の構造的欠陥のゆえであったのかもしれない・・という話はまた後日したいと思う>


2002年10月16日掲載

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