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ボールドだけなら私に言ってください
by 西やん


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 80 カチンコの6

 では「尻ボールド」の解説だ。
 ボールドということばが出てきたので解説するが、現場ではカチンコのことをボールドと呼ぶ。
 これは、Clapperboard(拍子木黒板?)という本場の用語のBoardのことだ(ドイツ語風? に呼ばれているのが何故なのかは知らない)

 さて頭にカチンコが入れにくい、または入れられない場合はどうするか? と言う話だった、これは「尻」という用語が示す通りでカットの終わり、お芝居が終わった後に入れるのである。
 前回述べたように音とフィルムは同じように編集出来るので目標がどこにあっても構わないのだ。
 カット頭にはデーターとしてのボールドが必要だが、これは本番前に黒板の文字だけを先に撮ってしまう、そういった雑用はカメラマンではなくスイッチを握るセカンドが行うことが多いのだが、ここで長くフィルムを回すと怒られたりする。
 まあこのボールド撮影に長くフィルムを回すのはもったいないのは確かだが、カメラのモーターは急には回りだせず急には止まらないので短くすると言っても限界はある(にもかかわらず「1コマ映ってりゃいいんだからな」などとセカンドにプレッシャーをかける人たちがいたりする)

 尻ボールドで撮影する場合はカチンコマンである助監督が「このカットは尻ボールドでお願いします」と大声で呼ばわるのが普通だ、これは録音部に念を押すという意味もある。
 撮影の開始自体はカチンコが画面の中にないだけで普通に始まる。

 問題はそのあとのカットの終わりだ、先ほど述べたように日本の撮影隊は予算的に締まっているので、撮影部セカンドは監督の「カット!」の声を聞くと素早くスイッチを切る習慣がついている。
 そこで監督の「カット」の声がかかるや、助監督は「尻ボールド!」と大声で叫んでセカンドを牽制し、大急ぎで画面の中に駆け込んでカチンコを打たなくてはならない。

 カット頭に入れる場合はカメラマンがたとえば「もうすこし上じゃないと入らないよ、ちょっと手前に引いて・・・おまえレンズ(の焦点距離)が頭に入ってないだろう」などと小言を言いつつも位置を見てくれたりするが、尻ボールドはそうはいかない。
 それこそ、フィルムがもったいないのでなるべく素早く、しかも確実に画面の中で打ち鳴らす必要があるわけだ。


2003年05月28日掲載

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