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* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 82 カチンコの8

 トーキー映画の発祥以来、まったくといって進展のなかった映画のシンクロ(同時録音)事情だが、それでもここ数年少しは進展のきざしが見えたと言うべきかもしれない。

 映画産業と比べると音響業界が進んでいるということなのか、音楽先行の撮影(ミュージカルとかプロモーションとか)で録音部が音出し(あらかじめ録音された音楽を現場で再生すること)をする際にはデジタル表示付きのカチンコが使用されることが増えたのだ。

 これは現場で音楽を再生する際にタイムコードという信号を同時に発信し、ハイテクなカチンコがこれを受信してデジタル表示するというシステムである。
 黒板にチョーク書きというカチンコと比べるとちょっと(いやすごく)カッコいい。
 仕掛けはよくわからないながらも、こうこなくっちゃな、という感じ(?)である。

 とはいえよく考えてみればこれとて録音側が撮影側にあゆみ寄っているだけだ。
 カメラ側はあいもかわらずカチンコを映しとっているだけ、そういう意味ではトーキー発祥以来のシステムに変わりはないのだが、いったいに、なぜ、どうしてだれもカメラ本体にもっとちゃんとした、確実なシンクロ装置を取り付けないのだろうか?

 近年これだけ進化しデジタル化された撮影現場の中にあって、最終的にはクラッパーローダーの腕ひとつ、状況によってはカチンコ一発で全身ずぶぬれ、というシステムが生き残っているというのが私には不思議に思えるのだ。


2003年06月11日掲載

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