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* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 84 剣と魔法の日々 その5
<マルチプレイヤー・オンライン・ロールプレイング・ゲーム体験記>


 遺跡地下に足を踏みいれた我々黒、白の魔法使いと格闘家のトリオは地下迷宮を徘徊するモンスターと戦いながら前進を続けた。
 地下に巣くうモンスターはさすがに強く、楽な戦いではなかったが我がチームはうまく回転して勝利し続けた。
 ところがあるとき相対したゴブリンが思いのほか強い、白魔法使いの回復が間に合わず格闘家の体力がジリジリと削られてゆく、ゴブリンの体力が尽きるのが先か格闘家のそれが先かという勝負になってきた、格闘家が先に死んだら残った2人に勝機はない、チームに緊張が走る。

 それでも何とか勝利を拾えそうだと思ったその時、それまで順調だった格闘家の回復が一瞬途絶えた、何が起こった? と思った時白魔法使いが「すみません、間違って自分を回復してしまいました」と悲鳴を上げた、その瞬間、格闘家はクリティカルヒットをくらってその場に倒れた。
 「ああ、ごめんなさい」と叫んで駆け寄ろうとする白魔法使いに格闘家は倒れたまま「いいから、逃げろ」と叫んだ。そう、今は生きている者のことを考えなくてはならない。
 「走れ」と私も叫び2人で地下迷宮をでたらめに逃げ始めた。

 枝道に逃げ込んで追跡してくるゴブリンをまいてたのはいいが、迷宮の深部で逃げ道がない。
 白魔法使いは意気消沈しているがこれは無理に引っ張ってきた私の責任である、いったいどうしたものかと思っていると、死んだ格闘家から「私が戻ってくるまでそこで待っていてください」というテレパシーが入った。
 とうてい一人でここまでこられるとは思えないのだが「信用して待ってください」と自信ありげな言葉と共に気配が消えた、死んで家に戻ったのだ。

 不安な気持ちで2人隠れていると、しばらくして我々の前にこのあたりでは見たことのないような高貴なローブを身にまとった魔法使いが現れて「おまたせしました」と言う。
 見た目は別人ながら先ほどの拳法家だ。
 じゃあ帰りましょう、と彼はいうとスタスタと歩き始めた、半信半疑の我々はあとに続く。
 広間に出るとあたり一面モンスターだらけという血の気が引くような光景が目の前に現れた。しかし魔法使いがなにやらの呪文を唱えたかと思うと、見える範囲のモンスターがすべて火を放ち一瞬で灰になってしまった、おそるべき魔力である。

 その後も現れるモンスターをすべて指先でかたづけた彼は我々を無事地上まで連れ帰ってくれた。
 あぜんとしている我々に彼は、自分は魔法使いとして最高位まで極めた者なのだけれど、間接攻撃だけの人生に飽きたので素手で勝負する格闘家の道を再び歩き始めたのだと説明した。
 そして「こうなった以上君たちもやりづらいと思うのでここで分かれよう」と言う「そもそも初心者どうしが協力しあって成長していくことこそ大事なことだと思うしね」と。
 そして再びなにやらの呪文をとなえるとどこへともしれない場所へ向かってテレポートして消えた。

 我々初心者2名はただただ腰を抜かして見ていただけである、う〜ん、ヨーダ?


2003年06月25日掲載

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