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* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 92 剣と魔法の日々 その8
<マルチプレイヤー・オンライン・ロールプレイング・ゲーム体験記>


 我々迷宮探検隊は迷宮の深部に踏み込んだ。奧に行くにしたがって次第に敵は強くなっていくが、志気高くバランスの良い構成である我がチームはそれらを次々と撃破していった。
 楽勝だねえ、などと言いつつ我々は先へ進み、ついに反対側の出口近くまでたどりついた。そこは天井の高い石の大広間でありその向こうに出口があるはずだ。

 我々が歩いて来た道は地面からやや高い場所に開いていた、これで完全制覇だ、と言いながら我々はそこから飛び降り、そして青ざめた。
 通路から見た時には気が付かなかったがその広間にはガイコツのモンスターが居たのだ。

 ガイコツは我々6人が全力で戦っても勝てる確率の低い強敵である、それがこの大空洞のあちこちに立っている、まずい、と思ったがもう遅かった、我々の出て来た通路は頭の上に口をあけておりもう戻れない。

 立ち止まっていてもどうにもならず我々は前進し始めた、ガイコツは音に反応する、細心の注意を払いながら一体また一体とそのそばを通り過ぎる。
 出口まであとわずか、いけそうか、と思ったその時、目の前のガイコツが振り返った! と見るや死に神の鎌を振りあげこちらに迫ってくる。

 一列縦隊で進んでいた我がチームは反射的に戦闘隊形を取る、前衛3人が敵を取り囲み、白、黒の魔導士は引いて守る、武器も使える赤魔導士は武器を構えて中間に位置する、これまでに何度となく行い体に染みついた完璧な布陣である・・が、これが裏目に出た、自分のポジションに向かって走るメンバーの足音が付近のガイコツの注意を引きつけたのだ。

 ガイコツが!、という悲鳴にも似た声であたりを見回した私の目に映ったものはこちらに駆け寄ってくる4体のガイコツだった。

 ああ、こういう幕切れか、というのがその時の私の感想であった、1体ですら勝利することの難しい敵が5体では何の望みもない。
 しかし判断を誤ったリーダーである自分の死はまぬがれないとしても、一人でも助けることは出来ないだろうか、私は全員に「戦闘中止、出口に向かって走れ」と叫んだ。

 走って行くメンバーを確認し私は目の前のガイコツにまず斬りかかり、振り返ってもう一体にも斬りかかり、通り過ぎようとしている一体に魔法を打って引きつけた。
 視界の端に魔導士に追いすがる2体のガイコツが見えたがもう打つ手はない、と思った時その2体が反転した、何だ? すると逃げたと思った格闘家が走り寄ってきた、彼がその2体を挑発して引き戻したのだ。彼は・・そうまるで多勢に無勢を相手している2人の侍のように私の後ろにまわり、背中あわせになり。

「隊長1人でかっこいいとこ見せようたってそうはいきませんよ」とうそぶいた。



※編集部より
「剣と魔法の日々」は不定期掲載です。
 はじめから読みたいという方は↓からリンクできます。

 その1 その2 その3 その4 その5 その6 その7


2003年08月27日掲載

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