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* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 96 マンガ的表現

 操演部のお仕事の一つに、飛び道具を安全にコントロールする、というものがある。
 矢とかナイフを間違いなく狙った場所へ導くということだ。

 それは役者さんのすぐそばに刺さるということであったり、まさしく役者さん本人に刺さるということだったりする。
 体に刺さる場合、そこはキチンとガードされており、得物が刺さったままになるような詰めものが存在し、かつ血糊が仕込まれている。

 もちろん一歩間違えれば大惨事になりかねないわけで、安全にして絶対確実な仕掛けである必要がある。
 もっとも多いのがガイド線を張ってそれに添わせて物を飛ばすという方法だ。

 矢などは先端と後端に穴をあけピアノ線を通しておけばよいので簡単だが、問題は投げナイフだ。
 というのも本来投げナイフというのは手首のスナップを効かせて投げ、クルクルと縦回転しながら飛んでいくもので、そんな運動しているもののコントロールなどは出来ないからだ。

 ところがアニメ、マンガのおかげでこれが少し楽になっていたりする。
 と言うのもそれらの中では投げナイフや忍者が投げる木の葉型の手裏剣などはたいてい切っ先を前にしてピューと飛んでいくからだ。

 実際そんなわけはないのだが、すり込みと言うのはすごいもので世の多くの人間はそういうものだと思っている・・・というか、そういう飛び方をしないと違和感を覚えると言ってよい。
 操演部にもそういった絵作りがもとめられることが多く、結果映画のナイフも切っ先を前にしてピューと飛んでいくことが多いわけだ。
 これなら矢と同じでガイド線を張れる、アニメ、マンガの表現は映画にとって時に邪魔であることも多いのだが、これに関しては助かっていると言ってよい。

 しかし次回はその邪魔な方、困ってしまうアニメ的マンガ的表現のお話だ。


2003年09月24日掲載

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