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* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 100 マンガ的表現 その5

 飛んできたおもり付きのロープが木の枝に巻き付く・・
 この「巻き付け方」にはおおむね2通りしかない。

 1つは、普通にロープを回転させて木の枝に衝突させるという当たり前の方法だ。

 もちろん前のカット(おもりを前にまっすぐ飛んできている)との整合性がとれないので、カットを割って「巻き付き」だけを見せることになる。
 もちろん「巻き付き始め」るところは見せられない。

 また進行方向に伸びてきていたはずのロープの行き足がカットが変わった瞬間に停止してしまっているわけでその違和感はいかんともしがたい。

 2つ目の方法は逆モーションだ、グルグルに巻いておいたロープを引いてほどき、それをフィルムの逆回転で見せる。
 実はこれもまた問題がある、その最たるものが「逆モーションは逆モーションに見える」ということだ(!)

 下に落ちるべきものが上ってくるなど物理的におかしい場合は当然だが、単なる人の芝居ですら違和感を覚えるのが普通だ。
 体の動きのスピードの変化が通常と異なるのか、はたまた服のはためき、シワの寄り方など物理法則にのっとって動いているものに違和感を覚えるのか?
 人がどこを見て「何かヘンだ」と感じるのかはわからないのだが、ともかく逆モーションはすぐにバレる。

 つまるところ「おもりつきのロープ、または分銅つきの鎖」が「おもりを先頭にピュー」と飛んできて「木の枝(や刀)にグルグル」と巻き付いてはいけないのだ。

 そんなことはアニメ・マンガでしか実現できない。しかし、今日もまたアニメ・マンガに毒された監督が「おもり付きのロープ、画面奥からカメラ方向にピューっと飛んでくる」などというコンテを切っている(・・に違いない) 


2003年10月29日掲載

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