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* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 105 剣と魔法の日々 その10
<マルチプレイヤー・オンライン・ロールプレイング・ゲーム体験記>


 挟撃をされる危険を避けるため、我々は戦闘する場所を村の中で慎重に選んだはずなのだ。
 にもかかわらず我々の後ろからオークの一団を引き連れてきた男はいったいどこから走ってきたのだろう。

 そもそも勝てない相手と戦闘していると悟った者、あるいはパーティは周囲に救援を呼びかけ、その場に踏みとどまっているべきものなのだ。

 逃げればその敵を引き連れて行くことになる、逃げていく途中で別な敵と遭遇すれば脅威はさらに増す。
 したがって「他人に迷惑がかからないことが確実でない時は逃げてはならない」というのが鉄則なのだ。

 ・・・とはいえ、人情として逃げ出したくなる気持ちも理解できなくはない、死んだ剣士の装備からみてこの村で一人で活動していたとは思えない。
 一緒に戦っていた仲間が一人また一人と倒れていくのを見てパニックになったに違いないのだ、それは村の入り口方面から中心部に向かって走ってきたことでもわかる、地図を見る余裕すらなかったのだろう。

 理解は出来るが歓迎はできない、我々は一体ずつですら手こずるオークの一団と一気に戦闘状態に入ってしまったのだ。気が付けば隣の道と先の広場に陣取っていたパーティーへもオークは襲いかかっている。あたりはたちまち悲鳴と怒号に包まれた。

 幸いだったのはこの3つのパーティのリーダーがそれぞれきわめて冷静だったことだ。

 乱戦の中にあっても状況を伝えあい、共闘する約束を取り交わし、お互いどの敵と言わずに戦い、誰と言わず回復しあうことになった。

 全員が戦闘をしながら広場に移動した、私は見知らぬ人と肩を並べて剣を振るい、見知らぬ人からの回復魔法を受けた。

 接近戦を挑む戦士たる私の目の前にはいつもオークがいる、その巨体が視界を遮るのでいったい仲間がどこで戦っているのか、オークは全部で何体いるのかさえ掴めない。  目の前のオークに振るう剣、私に振り下ろされる斧、攻撃魔法の炸裂する派手な輝き、回復魔法の白い光、オークの咆吼、剣戟の響きと、魔法使い達の詠唱の声、混沌である。

 しかし、戦況は次第に悪化していった。



※編集部より
「剣と魔法の日々」は不定期掲載です。
 はじめから読みたいという方は↓からリンクできます。

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 その6 その7 その8 その9


2003年12月03日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部