写真
---> 拡大表示



* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 106 剣と魔法の日々 その11
<マルチプレイヤー・オンライン・ロールプレイング・ゲーム体験記>


 つっこんできたオークはすくなくとも6体以上はいた。
 通常オークは1体に対して6人で戦うべき手強い相手である。しかしここには3パーティ18人しかいない、劣勢に追い込まれるのは時間の問題だった。

 私のそして仲間の体力がじりじりと削られていく、あきらかに回復魔法が間に合っていないのだ、そしてそのチームの生命線たる白魔法使いの体力さえ落ちていく。
 白魔法使いが死んで回復がとぎれれば、我がチームはあっという間に全滅するだろう。

「勝てないかもしれない」いやな予感が背筋を走る、やはりそれを予感したらしい黒魔法使いが仲間うちだけの連絡モードで「逃げようか?」と問いかけてきた。
 黒魔法使いには最後の切り札である脱出魔法がある、これを唱えれば我がチームは安全な村の外へワープ出来る、しかし今それを使っていいのか?

 押されながらも我々18人はオークの攻撃を受け止めている、ここで6人が脱出したら残りが壊滅するのは目に見えている。

 おそらくどのチームのリーダーも悩んだと思う、我がチームリーダーも一瞬逡巡したが「ここで俺たちだけが逃げ出すことは出来ない」と宣言した。
「あったりまえよ、しっぽ巻いて逃げ出すなんてまっぴらよ」と勇ましい赤魔導士のおねえさんが叫ぶ、道は定まった。

 私の必殺技はとうの昔に使った、自力で体力を回復すべく持ってでた魔力も尽きた。
 やがて「ちくしょう」「残念」という悲痛な声が聞こえ仲間が倒れていく、勇ましかった赤魔導士も倒れた。
「みんな頑張って! かたきをとってちょうだいね」と声だけの応援に後押しされ私は剣を振るう。
 ゼロに向かってじりじり近づいていく自分の体力、それはかまわない、仲間と枕をならべて討ち死にするのも一興だ、しかしここまで頑張った結果が全滅というのだけはゴメンだ、最後に立っているのは我々のうちの誰かであって欲しい。

 目の前の何匹目かのオークが地響きをたててくずおれる、次ぎはどいつだ? おそらくは血走っている目で、私はあたりを見回す・・・が、もう獲物はいなかった。

 そのとき、総勢18人中立っていたのはわずか6人だった。

 一人だけ残った白魔法使いがもう一人の白魔導士を蘇生し、そのもう一人はさらに別の誰かを・・魔力を回復させるための休みを取りながら、長い時間をかけて全員が復活した。
 そして互いの健闘をたたえ合い、我々はその村をあとにした。



※編集部より
「剣と魔法の日々」は不定期掲載です。
 はじめから読みたいという方は↓からリンクできます。

 その1 その2 その3 その4 その5
 その6 その7 その8 その9 その10


2003年12月10日掲載

<--Back     Next-->



Webmaster :
ammo@tokyo.fujifilm.co.jp
Copyright :
マカロニ・アンモナイト編集部