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* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 121 Saving Japanese movie <Part-1 Khaos>

 スティーブン・スピルバーグの「プライベート・ライアン」、冒頭のノルマンディー上陸のシーンの臨場感がすばらしい。

 広大な海岸に海兵隊が一斉に上陸して、海岸を警備しているドイツ軍と壮絶な戦いを行うわけだが、近景で主役級の俳優が芝居する一方、背景では無数の兵隊が戦っている、あたりには硝煙がたちこめ、砲撃の着弾による爆発は無数に起こる。

 カメラが主役を追ってパンすればそこは悲惨な戦場そのものだ、無数の兵隊が叫んでいる、隠れている、怯えている、撃たれて倒れる、砲撃で吹き飛ばされる、吹きとばされた自分の腕をさがしている、呆然としている、仲間を助けようとしている、助けようとして死ぬ、死んで波間に漂っている。

 カメラは時に誰かの主観となって地獄のような戦場を必死になって走る、視界は揺れ、あたりの壮絶な情景が目に入る、カメラがどこを向こうとそこは悲惨、熾烈な戦場そのものであり本当の戦場で撮影が行われているかのようだ。

・・・が、しかしそんなわけはないのである。

 これは緻密に計画、準備され、入念な打ち合わせの末にカメラ前に提出されたいわば計算されたカオスなのだ、しかしどのようなシステムがこのカオスをコントロール出来るのだろうか?

 正直なところ私には想像もつかない、という話を次回以降にしたいと思う



※「プライベート・ライアン」(米国/1998年/UIP)


2004年04月07日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部