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* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 128 Saving Japanese movie <Part-8 System>

 基本的にいって邦画はハリウッドメジャーと比べるとエンターティメントとして遅れをとっている。
 これを日本の映画人は長らく予算のせいにしていた。かけられるお金が違うからね、向こうは世界を視野に入れているから、アメリカじゃ映画の輸出は国策だから等々。

 しかし今ここでハリウッドメジャー級の予算が出たとすれば、同じような映画が撮れるだろうか?
 他のことはいざしらず私の目の届く範囲で、つまり今回述べてきたような仕掛けの多い現場の仕切という側面だけを見てもあやういことは確かだ。

 戦争のアナロジーで言えば、かつて日本はアメリカの戦争遂行システムに対して、竹槍で対抗しようとして負けた。
 もし今ここに大作のための巨額の資金が投入されたとするならばそれで整備しなければならないのは映画制作システムそのものだ。
 しかし今の映画制作現場に大金が流れこんでも竹槍を増産するだけに終わってしまう怖れは充分にある。

 いかにハリウッドといえどいきなり「プライベート・ライアン」が出来たわけでもあるまい。規模の大きな作品を長い年月をかけて作りつづけていくうちに、あのような複雑微妙な作品を間違いなくコントロールできるシステムが完成したのだろう。

 2〜30年ほど前の映画を見るかぎり、邦画がそう遅れをとっているとは思えない、しかし我々が予算を隠れ箕にしているうちにリードを許し、いまやその制作システムを想像することも出来ないほどに彼我の差が広がってしまっているのだ。

 これに危機感をいだかないようでは日本のエンターティメントの将来はない。



※「プライベート・ライアン」(米国/1998年/UIP)


2004年05月26日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部