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* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 139 Viewpoint <11> Overlook

 「処刑・ドットコム」(2002年/イギリス)というサスペンス映画がある。
 人里離れた場所で外部との連絡を絶ち、生活のすべてをライブカメラによってインターネットに公開されながら半年間暮らす、やりとげられれば賞金100万ドル! という懸賞に6人の若者が応募する。
 彼らはどこともわからない山中に建つ、無数のカメラが存在する家で暮らし始める、・・というお話だ。

 「ブレア・ウイッチ・プロジェクト」にヒントの一端があるのではと思わせるこの映画はやはり視点の仕掛けに充ち満ちている。つまり通常の客観に主観、そして無数のライブカメラ視点だ。

 誰が見ているともしれない3番目の視点がこの映画のミソだ。
 普通監視カメラの視点というものは「誰かが見ている」「カメラしか見ていない」の2つに明確に分けられる。前者は目先を変えた主観映像であり、後者は客観映像だ。この2つが混同されることはない(でないとストーリーが正しく進まない)
 しかしインターネットという匿名の闇に公開されている映像はどう捉えるべきものだろう? その先には誰がいるのか、いやそもそも誰か本当にいるのだろうか? と。

 つまりこの映画は、初めて「客観だか主観だかはわからない映像」という切り口を採用した映画と言えるのだ。

 まさしくアイデア賞。「ガス人間第1号」「ブレア・ウイッチ・プロジェクト」などと同じく、それ以前の映画がキチンとやってきたがゆえに生まれたすき間映画と言えるだろう。

 もっともこれは前2作と違って、その企画に自己撞着をおこして失敗している。
 半年の期限を間近に控え、この家には怪異な事件が立てつづけに起こり、ついには死人が出る。不安と恐怖におののくメンバー。

 メンバーはこの6人の中に主催者とグルになっている人間が紛れこんでおり、それが企画を盛り上げるために、あるいは賞金を払わないで済ますために、事件を仕組んだのだと疑うわけだ・・が。

 おいおい映画にキズがあるよと私は思った。
 誰かがグルであり、怪異な現象をひそかに仕掛けているとしても、家中に仕掛けられたライブカメラからはその行為は丸見えである。インターネットの観客がそれをもドッキリカメラとして楽しんでいるとしても、すくなくともそのスパイが誰であるのかはバレている。
 つまり彼 or 彼女はライブカメラしか見ていないところでは、自分も被害者のフリをして泣いたり、騒いだりする意味はない。

 結局カメラに向かって悪態をついたり、不安に泣きそうになっているメンバーのライブカメラ映像が流れる中、たった一人だけ他人がいないところの映像の流れないメンバーがいる、彼 or 彼女が犯人じゃないのか? と思えばやはりそれ以上の仕掛けがあるわけではなくそのとおりだった。

 惜しいけどなにか間違ってる・・と思う。




2004年08月18日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部