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しまった。わかりやすく切り出してみたら、それこそ写真を重ねて張ったみたいになってしまった
(世田谷区環状7号線にて)


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 140 Viewpoint <12> Telephoto lens

 映画は工業製品である撮影機材があって初めて実現した表現形式である。
 その表現の幅は機材の発達にしたがって広がっていったわけであり焦点距離の違うレンズというものが映画にあたえた影響は大きい。
 わけても超望遠レンズ、その望遠圧縮効果という映像は別格に数えられると思う。

 望遠圧縮効果とはなんであるか?
 それは遠景のビルが厚みもなく書き割りのようにくっつきあっているように見える効果であり、走っている車がいつまでも近づいてこないように見える効果であり、坂がまるで切り立った壁のように見える効果のことだ。

 言われてみれば、あーあれかと思いあたるものではないだろうか。

 なんであんな風に見えるのか? と言えばそれは画角が狭いからだ、と言えるだろう。
 画角(目で言えば視界)とはカメラから見える範囲のことだ。
 見える範囲の限界を右と左それぞれ2本の線で書いて見れば、それはカメラから広がる扇状になっている。

 だから同じ大きさのものでもカメラに(扇の要に)近づけば画面に占める割合が多くなり、遠ざかれば相対的に小さくなる。
 むずかしく言うことはない、つまりは「近くにあるものは大きく見え、遠くにあるものは小さく見える」と言うことだ。

 望遠レンズというのはこの画角が狭いもののことを言う。狭ければこそ遠くにあるものが画面の中で大きく見えるのだが、超望遠レンズというのはこの画角が平行に近くなるまで(扇をほとんど閉じた状態にまで)狭くなったものだと言ってよい。

 するとどうなるか? サイズが同じなら近くにあるものも遠くにあるものも画面に占める割合が同じということになる。
 さて、人は天然自然に物の大小で距離を感じとっている。つまり「大きく見えるものは近くにあり、小さく見えるものは遠くにある」と思うということだ。
 この感覚のままに「近くにあるものでも大きく見えず、遠くにあるものでも小さく見えない」望遠レンズの絵を見ると、人はそこに映っているものは接近して存在していると感じる。

 望遠「圧縮」効果とはそういうことだ。

 映画において効果的に使われた望遠圧縮効果について次回述べよう。


2004年08月25日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部