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zoom lens


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 142 Viewpoint <14> Zoom lens

 映画はさらにズームレンズという武器を手に入れた。

 何本もの交換レンズを持ち歩き、取り替える手間が省けたという以上に、1カットの中で画角を変えることが出来るようになったという事は、映画に驚異的な表現の幅を持たせたといえる。
 それはまさしく観客の視点を自在に誘導する武器であり、舞台、演劇鑑賞にはありえない視覚効果である・・・のだが、ここでそれについて一般論を語る気はない。

 語りたいのはスピルバーグの金字塔「Jaws」(1975年/米国)だ。

 アミティ島の警察署長である主人公ブロディはサメの襲来を危惧しているが、観光への影響を怖れた市長の意向で遊泳禁止の処置を取れず、海水浴客でにぎわう海岸でひとり海を監視している。
 不安を覚えつつも顔にだすわけにゆかず、ビーチチェアでくつろぐフリのブロディ。しかしその時沖合でゴムボートがひっくりかえる。

 その瞬間「周囲の景色がブロディから遠ざかり、狭い海水浴場は広くなる」この視覚効果は驚異的なものだ。

 これは予測しておきながらみすみす犠牲者を出してしまったかという彼のショックをものの見事に映像化している。

 これこそズームレンズなくしては生まれ得なかった新たな視覚効果である。
 どうやってこの映像は撮影されたのだろうか・・という話を引き続きしようかと思っていたのですが、長くなりそうなので次回にまわします、ゴメンなさい。




2004年09月15日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部