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ビニールに包むこともあります(破壊力ナシ)


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 163 たのしいお買い物 その3「和紙」

 ブツの購入は正しいルートを見つけるまでが勝負である・・と前回述べたが、それがわかっていても苦労することはある。

 たとえば火薬だ。「火薬」と名のつく薬品といえど、ひらけたところで火をつければそれはただ良く燃える物質にすぎない。
 密閉したところで火を付ければこそ、ハジける力を発揮するわけだ。

 詳しいことを語るわけにはいかないが我々の使う火薬(正確には「効果用煙火」)は和紙に包んで使う。紙で密閉し和紙の腰の強さでハジけかたを調整しているのだ。

 ために柔らかく薄く腰のある和紙を常に用意しておかねばならない。
 いつもは大手文具店で購入するのだが、いまひとつな製品しか入手出来ないのである日、都内某所の紙問屋に出かけていった。

 創業何年という風格のある店構え。
 出てきた若いおねえさんに「和紙を」と言うと、これまた紙を扱って何十年といった風格のあるおじさんに取り次いでくれてしまった。

 あなたでよかったのにおねえさん、と思ったのだが、大番頭風なその方はにこやかに近づき、お役に立ちたいという態度をあらわして「どのような用途にお使いでしょうか?」と言う。
 品揃えと商品知識にはまったきの自信があるようだ。

 どう言ったものかと一瞬悩んでいると。
「書なら筆の滑りと墨の発色から基本的に楮でして、こちらのものなどが・・」などといいながら紙を棚から下ろそうとする。

「いえいえー、書道用じゃありません」
「そうですか、日本画ですとまた顔料のノリが違うわけでして、雁皮の入ったものがよろしいかと」
「あ、いえ何か描くわけじゃなくって、なんというか物を包むというか」

『火薬包んで燃やしてしまうのです』とここで言ってしまえばよかったのに、うっかりためらったのがまずかった・・・という話は次回に続く。


2005年02月16日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部