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これこのとおり
手品の仕掛けにも使われたりするのは内緒


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 165 たのしいお買い物 その5「バスケットボール」

 プロの行く店にいって一番困ることはそこにカウンターしかなく、なんでもありますよ何がお望みですか? と言われることだ。

 専門家はしかるべき設計と計算によって、かくかくしかじかの規格でこれこれの精度をもつ××をくれ、と言えるのだろうが、こちらはなかなかそうはいかない。

 前回の和紙はまだ手触りとか風合いとか、手に取ってみなければわからないこともあるため見本帳があったのだろうが、たとえば板バネ(定規のような、ヤキの入った薄い鉄板でその弾力でなにかを支える)ようなものを必要とする人は普通「触ってみないとわからない」ということはない。

 しかし・・・と、その前になぜそのようなものが必要となったかについて説明しよう。
 あるコメディ映画用に「バスケットボールのゴールリングが、ボールが飛んでくるときゅっと締まって小さくなり、ゴールできなくなる」仕掛けを作ってくれという依頼があったせいだ。

「バスケのリングが締まる?」
 締まる寸前まではちゃんとした鉄製のリングに見え、しかしすぼまり、すぼまった状態でボールを弾かなければならない、えええ〜〜〜〜〜っ? てなもんである。

 とはいえ呼ばれた先でシナリオを渡され、その場で打ち合わせが始まるのは日常茶飯事。『ご要望は承りました、持って返って検討し近くお返事します』では通らないのが映画だ。
 操演生活ウン十年の知識と経験(とヤマ勘)を駆使して、今まで見たこともなければ作ったこともないものを制作可能かどうか判断し、その場で即答しなければならない。

 その場で思いついたのが板バネだ。

 板バネは薄くて強靱なので、ぐるっと丸く(鉢巻き状に)すれば真円になり(ゴールリングのように)一端を固定すれば水平のままその形を保つだろう。

 そして板バネの片端をゴールポストに固定し、片端をゴールポストの裏側に引き込めば、輪が縮まるにちがいない、これでいけるだろう、と判断してこれを請け負った・・というわけだ。

 もちろんえらく苦労するハメになった・・という話は次回以降に。 


2005年03月02日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部