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火災シーンにかかせないのがプロパン、制御しやすく安全(着火、点火が簡単で遠隔操作ができる)なのですが。ガソリン、灯油、などより炎が明るいので、陰影がつきにくく、「火の形をした白い透過光」になってしまうのが難点


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 189 華麗にいこうぜ その5

 1カットのためだけに呼ばれる映画の専門パートというのは、スタントか操演くらいのものだ。

 ハリウッドからはるばるとイタリアまで飛んできて、吹き替えをこなし、サッと帰っていくスタントチーム、トリュフォーはそれをかっこいいものの代名詞として使っている。
 本来そうあるべきだと思うのだが、これは私も参加したとあるアクション映画の話である。

 この映画にはアクションチームが役者兼スタントチームとして常駐していた。
 そしてある日映画の見せ場のひとつ、高い崖からの落下シーンの撮影となった。アクションチーム随一のわざ師であるO君は万を持して・・・なら良かったのだが、その直前まで演じていたその他大勢の衣装を脱いで吹き替えの衣装に着替え、目もくらむような崖の上に立った。

 しくじれば命も危ないスタント、静寂の中監督のスタートの声がかかりO君は空中に身を躍らせる、見事マットの中央に着地を決め会心の演技、拍手が湧く。
 しかしこのスタッフは私も含めO君とは10年来のつきあいである「まーO君なら楽勝だよねえ」という空気は隠しおおせようもない。

 普通ならこの一発で数十万(アメリカなら数百万)というギャラの演技だろう、身支度を整え飛行機に乗ってハリウッドに帰っていきたいところだ。
 しかしO君がマットから降りるか降りないかのうちにスタッフはもう次のカットに頭を切り替えていた。チーフ助監督が次のカットナンバーを叫んでいる。O君はその場で吹き替えの衣装を脱ぎ、再びその他大勢の衣装に着替え、自分が飛び降りたマットの片付けに加わった。
 頑張れO君、それはそれでカッコいいと私は思うぞ。


2005年09月07日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部