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凝った吊りのセッティングをしています(でも何をやっているところだったのか思い出せません)


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 191 困ったちゃん その2

 簡単に見えるが難しいと言う話の続きをする。

 たとえば人をただ吊るのは難しくない、それは多くの監督が知っている。しかしそこでキックのアクションをするのは大変だ。
 そういう注文をつける監督の頭の中にはカッコよく足を振り上げたポーズが出来上がっている。吊っといて足を振り上げればいいんだろう? 簡単じゃないか、と思っているのかもしれない。

 ところが吊られている人がたとえば右足を大きく振り上げると反作用で体全体が前に傾いてしまう、さらに言うなら上から見て体を時計回りに回す動きも発生する、足は体の中でも大きな質量があるので反作用も大きいのだ。

 結果上体は下を向き、体全体が右にねじれたおかしなポーズになる。

 こういうことは我々はやってみるまでもなくわかるので(っていうかまあ何度もやっているので)打ち合わせでそういう要求が出た時には難しいです、と答える。
 「実際問題として、吊られている人が右を向くだけで体は左に向くのです。吊られた人が他になんの影響もあたえず体の一部分だけを動かすのは不可能なのです」と言ってはみるものの、まあたいていは理解されない。

 自分の抱いた都合のいいイメージ、動きたい部分だけ動いて動いてそうでない部分は動かない頭の中だけにあるイメージ(妄想とも言う)を修正できないのだ。
 うまくいかなかった時の体験が無い(忘れている?)ので仕方ないのかもしれないが、そういう時はバカバカしいことにやって見せるしかない。

 うまくいかないことを納得してもらうためだけの仕掛けほど気の乗らない仕事はない・・という話を次回もう少し。


2005年09月21日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部