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「バタンコ」これは特撮で落盤・陥没を表現するための仕掛けです。一種の落とし穴で、つっかえ棒を払うと上に乗せた土が落ちてきます。
普通は一気に落とすのですが、今回は15連になっています。端から順に落としていくわけです


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 195 困ったちゃん その6 −微速度撮影−

 特撮とは普通では撮れない映像をフィルムに定着させる仕事である。
 そして操演部というのは。そのための実際的な方法を考え、撮影・美術と協力し(ここが重要だが)そのための仕掛けを制作し、実行するパートだ。
 問題が生ずればどうすればそれをクリアできるか考えるのは自分の仕事だと私は考えている。

 だから逆回で撮影したらどうなる? 材質を変えたら? サイズを変えたら? 逆さにしたら? 垂直方向を変えたら? 高速度撮影では? 微速度撮影では? と常に考えるのが癖になっている。今回もたちまち解決策を思いついた。

 遅い振り子を早く見せる方、それは微速度撮影、通称「コマ落とし」である。

 映画は通常秒24コマで撮影され秒24コマで上映されている。これを24コマより遅い速度で撮影し、普通に上映すれば映っているものは早く動いて見える、これをコマ落としと言う。
 人物がチャカチャカした動きになってコミカルに見える映像を見たことがあるだろう。サイレント時代の映画などがまさしくそれだ。
(もっとも当時の映画人がそれを狙いでやったと思うのは間違いだとは言っておこう。当時は1秒18コマで撮影するのがスタンダードだったのだ。上映も18コマなので動きが早く見えたわけではない。
 映画がトーキーになった際、秒18コマの速度では充分なクオリティの音を再現できないとわかり、フィルムスピードが引き上げられたのだ。そのため今当時のフィルムを上映すると24÷18の1.3倍速で人が動いて見えるだけなのである)

 さて特撮屋の私にとってはカメラがノーマルで動いている事自体が珍しいくらいコマ数の変更は日常茶飯事だ。
 今回も振り子の周期が4倍になっているなら、1/4のコマ数で撮ればノーマルに見える。これで解決と思い監督に注進したのである。

 ところが! という話を来週に。


2005年10月19日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部