写真
---> 拡大表示

モーションキャプチャー用に赤外線投光器と赤外線カメラが据え付けられたスタジオ
コンピュータは体のあちこちに付けたマーカーの動きを解析して人の動きを記録します


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 205 メイキング その4

 スピルバーグの<昔の映画の>DVDに付いていた<新しく撮った>インタビューの話だ。

 時間が経ってからのインタビューというのはたいていロクなものではない。
 そもそもみんな当時のことなど忘れている、そしてたいていのことが「いい思い出」になっている。
 だから誰に何を聞いても判で押したように「いやあ、あの映画はたいへんだった、ずいぶん苦労したよ」という調子になる。

 そもそもインタビューがプロモーションのために行われていることは皆百も承知だから「大変な撮影だったが我々はそれを乗り切った」というストーリーラインをはずすわけもない。
 「あの映画は楽だったなあ、面倒なことは何もなくアッと言う間に終わってしまったよ」などとは本当のことでも言わない、皆夢を売って食っている商売なのだ。

 だからその映画のインタビュー集もたいして見る価値のないものだった、唯一スピルバーグのそれを除いては。

 出世作と言われるその映画を監督していたスピルバーグは当時まだ20代、驚くほどの若さである、そしてそれから30年経ってなお「撮影4日目頃の夢をよく見るんだ」と言う、そして飛び起き水を飲んで寝るとまた同じ夢を見る「撮影4日目、仕事は146日残っている」そしてまた飛び起きる、と。

 それはこのメイキングで唯一見る価値のある映像、生の声だった。

(続く)


2006年01月05日掲載

<--Back     Next-->



Copyright :
マカロニ・アンモナイト編集部