* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number


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ナパーム(ガソリン爆破)を仕掛けています。並んでいるキレイな液体はガソリンです。消防署の許可を受け、4トンの水タンク車2台とエンジン付き消防ポンプが待機しての撮影です。よい子はけっしてマネしないでください。








Roll 212 アクシデント −現場力・その1−

 アクシデントに対応する能力の例として前回はトリュフォーを取り上げたがそれは演出家だけの問題ではない。現場のスタッフすべてに要求される力だ。

 この資質・能力を特撮監督の神谷誠氏は「現場力」と呼んでいる(注:氏が勝手に名付け、近しい人にだけ吹聴している言葉なので映画界に定着した言葉では全然ない)
 それは創造性、柔軟性、あるいはパニックに陥らない平常心を含んだ総合力だ。
 ではその現場力はどこで養われるのだろうか?

 スペシャル・メイクアップ・アーチストの第一人者・原口智生氏は本業でないが怪獣の着ぐるみを制作することがある。
 一方日本には長い怪獣映画の歴史があるので怪獣を作る造型会社がいくつも存在する。私も商売柄これまでに数多くの怪獣を見てきたが実は原口氏の作った怪獣の出来が一番良いと思っている。

 姿形の造型はもちろん最高なのだが、一頭地を抜いているのはその軽さ、パーツの着脱の容易さ、着ぐるみ役者の居住性、修理のしやすさなどいわば現場でのハンドリングに関する要素だ。
 たとえばの話、怪獣は出番のない時にはハンガーのようなものを袖(?)に通して吊しておくのが普通だが、服などと違って何十キロもある怪獣にハンガーを通すのは容易ではない。しかし原口製怪獣には肩などにたくみにフックが隠されていて収納が容易になっている。

 水に入る怪獣の場合は着ぐるみを着る役者が安全なように、何より「怖い思い」をしないですむように配慮されている。

 役者のメンタルから、保守点検の手間まで考えられた作りなのだ。

 「なんで怪獣をほとんど作ったことのない原口氏が専門の会社より出来のいい怪獣を作れるんだろう?」と神谷氏に言ったことがある。
 「それこそが現場力の違いですよ」というのが答えだった。

 現場力続く。


2006年02月22日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部