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人吊りの「引っ張り隊」がザイルを握り、芝居に合わせようとステージを注視している。


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 213 アクシデント −現場力・その2−

 前回の「現場力」の話を続ける。

 現場力とはいわば撮影現場におけるアクシデントに柔軟に対応する力、ひいてはアクシデントを予測しそれに備えておく力のことだ。

 それは当人の資質、才能による部分もあるのだろうが、多くはどれだけ現場経験を積んだかによるだろう。それはただ長く仕事をしてきたというのではなく、修羅場をどれだけくぐってきたか、アクシデント、あるいは自分のミスでどれだけ冷や汗をかいてきたかで決まるのだと思う。

 前回紹介した原口氏、スペシャル・メイクアップ・アーチストを例にとろう。
 「アーチスト」というと芸術家、孤高の人、職人といった語感があるが、スペシャル・メイクアップのキャンバスは生身の人間である。それはメイクをする俳優に忍耐と不安、不自由を強いる。だからなによりもまず相手に信頼されることが重要なのだ。頑固、偏屈では勤まらない。

 そして当然ながら技術者として信用を得る最大の方法は確かな技術を示すことだ(そしてつまらないミスをしないこと)。
 準備にも装着にも、はたまた取り除くのも時間のかかるスペシャル・メイクアップはちょっとした事故、不注意で撮影が遅延し、役者に一層の負担がかかる。そうなれば信頼もなにもあったものではない。

 結局彼は現場をスムーズに進行させるためには自分が何をすればよいのか常に予測し準備することになる。
 どこにトラブルの種があるか、回避するためにやっておくことはあるか、万一トラブルが起きたらどう対処すべきか。

 原口氏の「現場力」が高い(最高だ)のは当然なのだと言えよう。


2006年03月08日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部