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* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 216 完成品のイメージ −円空−

 仏師、円空は木の中に彫り出すべき仏像の形が見えたという。
 まあ後世に作られたっぽい話ではあるが、本当だとすればそれは最初から完成品のイメージが見えていたということだと思う。

 映画の現場にも超絶的な技巧を持つ職人さんが多く居る。たとえばホリゾントに雲を描いたら右に出る者のないS氏。
 私が駈け出しの頃から今に至るまで、TV・CM・映画におけるここ一番という雲は全てS氏の手になっていると言って過言ではない。

 ここ一番、とはどういうことか? それは雲がただの背景ではなく、意味のある、見せ場として重要な役を担った舞台装置であるということだ。

 とある車のCMでデザイナーのセットデザイン指示書を見たことがある。そのCMではホリゾントに印象的な暗雲を描くことになっており、車の背景となるそれがそのCMの、つまりは商品たる車のイメージを決定することになる。

 普通こういう場合デザイナーは自らイメージ画を描くか、既存の写真や絵画などの参考資料をそろえ背景画家に詳細な指示を与えるのが普通だ。しかしセット図面には背景への指示として「Sさんの凄い雲」としか書かれていなかった。

 もちろん「凄い雲」が描かれていたのだが。

 このSさんがホリゾントに絵を描くところを見ると・・という話をしようと思ったが長くなりそうだ。円空とどういう関係があるかについても次週の話としたい。


2006年03月29日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部