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空にビル街を張る(!)という荒技、特撮には決まりもタブーもありません


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 217 完成品のイメージ2 −ホリゾント−

 撮影所には大道具という部署がある。大雑把に言えばセットを組むところで映画人ならずとも名前くらいは聞いたことがあると思う。
 想像するイメージはノコギリとトンカチをもった、つまり「大工さん」ではないかと思うけれど、実際には大工、建具、経師、左官、塗装など建築にかかわる職人さんすべてを抱える総合部門だ。

 「背景」と呼ばれるホリゾントに絵を描く職人さんたちもそこに所属している、そしてビル街、木立、あるいは空、どんな注文にも応じてくれる。

 ところでしかし一口に空と言っても、室内セットの窓ごしに見えるそれと、特撮ステージにおける空ではその意味がまるで違う。

 あたりまえだが窓から見える空は小さいし、フォーカスも合っていない。また通常空は室内よりはるかに明るいので露出オーバー気味に照明されている(写真の用語でいえば「白とび」している)のが普通だ。
 そして、ここが重要なわけだが「そこに誰も注意を払わない」

 特撮ステージの空はそうではない、それは何かのついでではなく重要な舞台装置だ。

 目を引くミニチュアセットでもあればまだしも、荒野とか海、あるいはまさしく「空」のシーンでは観客の注意を十分に引きつける。なにしろ他に見るものはないのだから。

 特撮ステージの空がよりリアルでより完成度の高いものでなければならない理由は理解いただけたろう、したがって空を(ということは雲を)描く背景さんには充分なテクニックが要求されるのだ。

 ではそのテクニックとは、という話を次回にしたい。

 次週と言ったわりには円空にまで話が至らなかった、それは必ずや次週に・・いや、あるいはその次に・・


2006年04月05日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部