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ボーダーライト


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 218 完成品のイメージ3 −リアル−

 特撮ステージに描かれる空は室内セットの「窓越しの空」より重要であり、よりリアルでなくてはならないと言う話を前回した。

 しかし空におけるリアルとはなんだろうか?
 それは言ってみれば無限の広がりを感じる、という事ではないかと思う。

 しかしホリゾントでそれを表現するのは難しい。

 ホリゾントは上下からボーダーと呼ばれるライトで照明されるのだが、下側のボーダーを隠すために、特撮セットは高さ60センチほどかさ上げした舞台の上に組まれている。
 この舞台はもちろん広いに越したことはなくボーダーが必要とする距離を残してギリギリまで大きく作るのが普通だ。
 ボーダーがムラなくホリゾントを照らすのに必要な距離は約2メートル、したがって舞台の端はホリゾントから2メートルほどの距離にあるわけだ。

 ミニチュアや書き割りなど有限の距離にある物から、無限の広がりを表すホリゾントまで実際には2メートルしか離れていないということだ。

 ホリゾント自体の質感や、塗料の粒状感が見えないように撮影部はなるべくホリゾントにフォーカスが合わないよう調整しているが、状況によっては被写界深度*に入ってしまうことも多い、しかし空に「フォーカスが合っている感」があっては絶対ならない。

 プロ用ムービーカメラのレンズと35ミリフィルムの解像度は絶大である(ハイビジョンの比ではない)。そのシャープな描写力で大きなスクリーンに映写されてもなおホリゾントは霞んでいてつかみどころがない感じで描かれなくてはならない。

 背景屋さんがどれほど慎重に事を進めても不思議はないわけだが前述のS氏は・・という話を次回にしたい・・またまた円空の話が出てこなかったが次回に出る(と思う)


*注:被写界深度
 フォーカスは本来カメラから一定の距離の一点にしか合っていない。しかしその前後には「フォーカスがあっているとみなして良い」範囲がある。この範囲が広いものを「被写界深度が深い」と言う。被写界深度はフォーカスの合っている地点がカメラから離れるほど深くなり、レンズの焦点距離が短いほど深くなり、絞りを絞るほど深くなる。この範囲にあるものはフォーカス面と同様にシャープに映る


2006年04月12日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部