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暗雲


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 221 完成品のイメージ6 −決めうち−

 TV特撮のホリゾントは特徴のない空が求められる、という話を前回した。それは1年を通じ全カットを通じて(!)同じ空を使い回すからだ。

 それはもちろん同じであることがバレないようにということだが、前もってどういう話を撮ることになるかわからないから、ということでもある。

 ホリゾントに雲を描くのはクランクインの前だ(あたりまえ)。その時に1シリーズ分、4クール52話でどんなお話を撮ることになるのかは誰にもわからない。

 たいていのシナリオは撮影と平行しながら書かれていく、走りながら考えているということだ。
 それは視聴率や反響のフィードバックを盛り込めるということであり、悪い事ばかりではないのだが、ともあれクランクインの時点で先のことはわからない。
 最低限想像出来るのは、小さなお友達を飽きさせないように、背景たる舞台は都会あり山中あり海辺あり、はたまた宇宙あり地中ありといろいろなシチュエーションがあるんだろうなということだけだ。

 それゆえ空はどんな要望にもこたえられる無個性なものが求められる。
 まかりまちがっても暗雲とか入道雲を描くわけにはいかないのだ。

 映画の場合は事情が違う、クラインイン前にその映画にどんなシーンがあるのかわかっていないということはありえない。
 各シチュエーションに隔たりがあるなら、途中でホリゾントの描き直しもありうる。だから映画の場合はある程度決めうちの空が描けるのだ。

 もちろん映画といえど前回述べた切り返しの問題はつきまとうので、あまりに特徴的なものは描けないがたとえばこのシーンは夕景である、というほどの特徴は持たせられる。

 もっともそれが裏目に出て・・という話を思い出したので書こうと思ったが、長くなったので次回に。


2006年05月10日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部