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青空ホリゾントもカラーライティングでたちまち夕景に


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 222 完成品のイメージ7 −ロケマッチ−

 ロケマッチという言葉がある。ロケ先に合わせて(マッチングさせて)セットを飾るということだ。

 通常のドラマにも必要なことだが、特撮の場合は本編(芝居部分)と特撮部分のつながりを良くするために特に気を使わなくてはならない。

 ロケで撮った建物をミニチュアで作るというのもその一環だが、実際には「環境」をいかにうまくコピーするかのほうが重要だ。
 たとえば一口に住宅街といっても戦前の建物が残る古い家並みなのか、建て売り住宅の目立つ新興住宅地なのか、森なら生えているのは針葉樹なのか広葉樹なのかということだ。

 たとえ予算のないTV番組であろうと美術部はロケハンに同行し写真を撮り、なるたけその雰囲気を再現しようと努力している・・空以外は。

 そう、TVの場合は空まで手が回らない。ミニチュアセットにいかに手をかけようと空はいつも一緒なのだ。

 しかし映画は違う。

 あるとき本編の大半がサイパンロケの映画があった、ロケハン写真を見れば抜けるような青空と雄大な雲である。
 これは合わせなきゃ、映画だし。ということでS氏が腕をふるって日本ではありえない真っ青な空と雲を描いた。

 そしてクランクイン、撮影隊はサイパンロケに。
 ロケに出番のない操演部と特撮美術部の留守番部隊は撮影所に残って特撮の準備に余念がない。

 そこへ悲鳴のような報告がサイパンから入り始めた。
 曰く「雨です」「今日もどん曇りで撮影できません」「青空出てませんが撮りました」「今日も雨っぽいですがこれ以上延ばせないので撮ります」

 本編の絵の大半が曇り空になりそうだとわかった時にホリゾントを一から描き直す時間はなかった。
 せっかくのホリゾントだったが急遽呼び出されたS氏が全体にうっすらと白い塗料を吹く。
 「抜けるような青空」をうす曇り風に仕立てたわけだが、もちろん最初から狙った効果ではないので不自然なものになってしまった。

 これがTVであれば(なんの変哲もない空であれば)照明だけでどうとでもなったケースであろう。なまじの決めうちが裏目に出たケースである。

 続く。


2006年05月17日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部