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* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 227 完成品のイメージ12 −世界のタケヤ−

 さて本邦一の原型師「世界のタケヤ」こと竹谷隆之を私がなぜちゃん付けなのかと言う話だった。

 なぜと言えば彼はまず映画の造型屋としてデビューしたからであり、私は彼がこの業界に入って間もない頃、アマチュアに毛がはえたくらいの頃からのつきあいだからだ。

 その当時、大事に作って鑑賞するだけの作り物−つまり展示物−しか作ってこなかった竹ちゃんの造形物は映画には全然使えない代物だった。
 すでにその天才ぶりが発揮され、見てくれは最高の出来であるのだが、なにしろ触ると部品がポロポロ落ちるし、仕掛けの可動部分が木製だった(注:耐久性がないし、そもそもちゃんと動かない)

 撮影現場において何か重要なものが壊れれば何十人かのスタッフの手が止まってしまう。長い準備期間も周到な打ち合わせも意味を失う。
 ここで撮り切らねば2度と撮るチャンスはない、といったクリティカルなスケジュールが日常茶飯事な映画において、作りものは出来の良さと同じくらいに頑丈さが重要なのだ。
 というか「出来は悪いが壊れないもの」と「出来は良いが壊れやすいもの」のどちらかを選べと言われたら映画屋は間違いなく壊れないものを選ぶ。出来の悪さはフォロー出来るが撮れなかったらアウトだ。

 1カット撮るたびにパーツが脱落していくミニチュアは現場の悪夢であるし、可動部分が金属製でないメカは操演屋の悪夢なのだ。

 そんなアマチュアレベルの作り物を映画用プロップに変える手伝いをしたのが私だ。
 その後彼はあっというまにスター街道を駆け上がっていってしまったわけだが、こういう駈け出しの頃の関係というのは尾を引く。結果今でも彼は「根岸さん」であり私は「竹ちゃん」なのである。

 さてそんなわけで私はこの天才と何本もの映画で一緒に仕事をしてきた(そして先輩づらをして言いたい放題を言った)。
 そこで彼の仕事を間近で見てきたのだが・・という話を次回に。


2006年06月21日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部