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円谷プロ美術準備班、通称ジュンビーズ訪問


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 228 完成品のイメージ13 −竹ちゃん−

 それはとある特撮映画の現場のこと、ミニチュア撮影の真っ最中に監督が突然「主演女優のミニチュアが欲しい」と言い出した、なきゃ撮れないと。

 映画の常識で言えばこれは暴挙と言ってよい。
 普通特撮で使うミニチュアは撮影に入る遙か以前に用意されるべきものだ。

 撮影でどんなミニチュアが必要になるかはクランクインの前、コンテがあがってきた段階で決定する。
 労働集約的な映画産業の中でも特注かつ一品生産たるミニチュアは特に予算と時間を食う。そのため何をいくつ制作するか、その縮尺や材質はどうするか、ギミック(仕掛け)は要るのかなど入念な打ち合わせがおこなわれるのだ。

 必要なものが割り出されたら、デザイン画が描かれ図面が引かれ、美術部で内製出来る物と造型会社に外注するものが割り振られる。

 クランクインしてしまえば日々の撮影に追われてしまう美術スタッフは早めに手をつけたい。
 外部発注の場合は撮影に間に合えばいいのだが、それがどんなに簡単な作り物であっても撮影の1ケ月以上は前に発注されるのが普通だ。
 世の中にミニチュアの需要はそう多くなく(あたりまえだが)制作可能な造型会社の数は多くない、それゆえ急な注文には応じられないわけだ。

 何が言いたいのかというと、つまるところ「ミニチュアはそう簡単には作れない」ということだ。
 だから大作映画になると「美術進行」という準備スケジュールを管理する人間がスタッフとして参加する。彼の仕事は作り物が撮影に間に合わないということがないよう万全をつくすことだ。

 当然ながら当日になって「主演女優のミニチュアが欲しい」などと言って通るものではない、普通ならば。

 そう、普通なら、しかしその現場は普通ではなかった、たけちゃんが、「世界のタケヤ」ではまだ無かった竹谷隆之が一スタッフとして参加していたからだ。

続く


2006年06月28日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部