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カメラ振動台(筆者制作)地震・爆発などのカットを撮る時、地面が揺れたフリをしてカメラを揺らす仕掛け。
偏芯モーター(携帯やゲームコントローラーを震動させる仕組みと同じ)で揺らします。


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 241 撮影機材と撮影効果 <メリエスの時代 その1>

 映画は絵画や演劇、あるいは音楽と同じく「思想又は感情を創作的に表現」する形式のひとつである、しかし他の表現形式と比べるとその歴史はきわめて短い。
 それはわずか100年前、ムービーカメラの発明から始まったものだからだ。

 しかし一方、その表現の進化はそれら先達とは比べものにならないほど早かった。
 なぜなら、映画ならではの表現−撮影効果−は工業製品たる各種撮影機材とともに発達していったからであり、20世紀はまさしく工業技術発達の世紀であったからだ。

 とまれ映画は機材に依存している。こんなことがしたい、と夢想したところでそれを可能とする機材がなければ撮影不可能だし、逆にある機材が開発されたことによって新たな表現が発明されるということもある。「逆ズーム効果」(Roll 143参照)などはその良い例だろう。

 今回は撮影機材と撮影効果の関係について話したい。

 まずはともあれカメラ本体の話だ。
 「キングコング」(ピーター・ジャクソン版)を観た方ならご存じのとおり、1930年代(ムービーカメラの発明から30年経った頃だ)カメラはまだ手回し式だった。

 90度に2回曲がった(Crankした)棒を回す(Crankingする)ことで映画が撮影されていたためいまでも映画の制作開始をクランクインと言うのである。
 この当時、カメラマンとはまずは一定の速度(1秒に18コマ)でフィルムを回し続ける技術のある人間を指す言葉だったのだ。

 とはいえ、実のところ現在においてもカメラの構造は基本的には変わっていない。
 カメラはモーターで駆動されているが、それは人がやっていたことをモーターが代替えしているにすぎない。

 というのも、たとえばカチンコに書かれたカットナンバーを本番前に撮っておく場合、撮影助手がモーター軸を手でつまんでクルッと回すだけだったりする。物理的にフィルムが送られ、シャッターが回転すれば撮影は出来るのだ。

 撮影自体は本質的には電気を必要としない。なにごとも電気でおこなわれている現在から観ると、ムービーカメラというものが純粋にメカニカルな仕組みであるというのは新鮮な驚きではないだろうか。

 続く


2006年10月04日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部