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汎用振動台装置「地震で公園の時計塔が揺れる」という仕掛けの為にでっちあげた仕掛けですが揺れるものならなんでも揺らすことができます。
モーターの回転を調整して共振を起こしてやれば、重いもの(車とか)でも簡単に揺れます。


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 242 撮影機材と撮影効果 <メリエスの時代 その2>

 映画ならではの表現「撮影効果」は撮影機材とともに発達していった、と前回述べた。

 ならば映画の黎明期、周辺機器というほどのものは何もなく・・・というかカメラ自体が驚異の発明品であった時代には言うべき効果はなかったのか? というとそうではない。

 「映画」を発明したのはフランスのリュミエール兄弟であるが、映画の将来性に目をつけ商業化への道を切り開いたのは当時マジシャンであり劇場主であったジョルジュ・メリエスである。

 そしてメリエスはこの原始的なカメラで多重露光、フェードイン、フェードアウト、オーバーラップ、逆回、ストップモーションなど現代の特殊効果に直結する技術を数多く発明しているのだ。


 『メリエスが街の風景の撮影していたところカメラが故障し一旦撮影が中断した、その後このフィルムを現像してみると男が女に、馬車が霊柩車に一瞬で変わっているではないか。この現象に驚いた彼はその後多くのトリック撮影を発明し、劇映画の始祖となった』というのはメリエスの評伝を読むとかならず出てくるエピソードである。

 良く出来ているエピソードだが実のところ後年に創作されたものなのではないかと私は疑っている。

 メリエスの発明した特殊効果は、ムービーカメラのメカニズムについて熟知していなければ発想/実行することは出来ないもので、そのようなカットつなぎによる編集効果の延長上に存在するものではない(そんなことで驚いているようでは先が思いやられる)と思うからだ。

 では彼はどこからアイデアを得ていたのか? そのヒントはある。
 当時すでに写真(乾板写真)による2重露光の効果は知られており、それを使った「トリック写真」というものも存在したのだ。
 マジシャンであり新しもの好きのメリエスがそれを知らない筈はない。
 このスチール写真の技法を映画に取り入れたらどうなるかメリエスが理詰めで考えていったと思うほうが自然だと私は思うのだ。

 ともあれカメラしかなかった時代、それを初めて興業に使用することを思いついた男はすでに新たな表現、映画ならではの「撮影効果」を模索していたということなのだ。

続く


2006年10月11日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部