写真
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4回ばかり前に「水柱」の効果は硅砂を飛ばすに限ると言った、あの写真は火薬で硅砂を飛ばしたもの。
これは空気圧で飛ばす方式、結果はこれのほうがいいがセット内におさまる高さじゃないのが欠点(為にオープンナイター)


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 243 撮影機材と撮影効果 <メリエスの時代 その3>

 映画を興業として成立させた男、ジョルジュ・メリエス。
 彼は多くの特殊効果の発案者であるが、もっとも多用したのが一旦撮影したフィルムを巻き戻して再び撮影する「多重露光」である。

 一度撮影したフィルムに再び何かを撮影してしまえば画像は2重写しになってしまう(銀塩カメラ時代にはミス、あるいは故障でそんな写真を撮ってしまった方も居るのではないだろうか)
 しかし、画面配置をきちんとコントロールし、1回目の撮影で黒くなっている(暗くなっている)部分にだけ2回目の画像を写し込めば、半透明な2重写しになることはなく、今でいう「合成」に極めて近い効果が得られるのだ。


 乾板写真がすでにあったこの時代、技法自体はすでによく知られていた筈だが、これをムービーに取り入れるのはそれなりに工夫のいったことだろう。

 たとえば「一人オーケストラ」(1900年)という作品がある。メリエスが7人出てきて楽器を演奏するというものだ。
 画面上と左右には緞帳が下がり劇場のような舞台装置になっている。
 背景は多重露光の都合上真っ暗だ(舞台仕立てなのはその違和感をなくす方策だと思われる)

 真ん中のメリエスは立って指揮棒を振るっており、他の6人は3人づつ左右に分かれて椅子に座り楽器を演奏している。
 膝が触れあわんばかりの配置になっているあたり、位置合わせに神経を使ったであろうことは想像に難くない。

 そしてなにより気を使ったのはタイミングのはずだ。一人芝居を何度も繰り返して最終的に1巻にまとめるというのはヤマカンで出来ることではない。
 7人それぞれの芝居を決め、今で言うタイムキーパーを置いて時間でタイミングを合わせていく以外ないのだ。

 この技法を考え、作品を企画し、現場をコントロールして、自ら出演するというのは並たいていの才能ではない。
 (前回述べたように「カメラの故障でたまさか起こった編集効果を見て驚く人物ではない」と私は思うのだ)

 ところで、画面に同じ顔の人間がいっぱい出てきてあれよあれよ・・・というのはTVCMを見ているとよく見る効果である。メリエスが聞いたら「100年経ってもまだやってるのか!」と驚くだろう。

続く


2006年10月18日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部