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ナイター遠景用書き割りとミニチュア(Roll 181参照)でも書いたことだが、このくらいいい加減なほうが結果が良いのです。


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 247 撮影機材と撮影効果 <メリエスの時代 その7>

 機材と撮影効果について語ろうという遠大な計画なのについついメリエスについて話しこんでしまった。

 投影された写真が動くということに人々が驚異を覚えていた時代。その興業としての価値に着目し、スタジオを建ててセットを組み、シナリオを書き、役者に演技をさせ、さらには数々の特殊効果を考案するという八面六臂の活躍をした男にエピソードは尽きないのだ。

 とはいえ本題にもどらねばならない。最後にもうひとつだけメリエスの偉業をたたえて終わることにしよう。

 多重露光の魔術師メリエスは、今も使われる重要な効果を3つ考案している。

 ひとつは、あるシーンが終わるときプツンと切るのではなく余韻を残すためにだんだん暗くなっていく効果「フェードアウト」
 その逆、あらたなシュチュエーションが始まることを示す「フェードイン」

 そしてフェードインとフェードアウトを同時に行って、なめらかに画面を切り替える「オーバーラップ」である。
 オーバーラップは時間経過とか、回想シーンに入るとか、はたまた舞台が遠くに移動するとか『時間的・空間的なジャンプをしているが、前後のカットに意味的なつながりが存在する』という表現に欠かせない効果である。

 (今、これらの効果はすべて後処理である。しかし当時は撮影中に絞りをいじってフェードインやフェードアウトを行っていた。オーバーラップは一度フェードアウトを行い、フィルムを巻き戻してフェードインで再開するというメリエス好みの多重露光効果だった)

 『映画の黎明期、周辺機器というほどのものは何もなく・・・というかカメラ自体が驚異の発明品であった時代には言うべき効果はなかったのか』と5回前に書いた、これがその回答である。

 つまり先人達はつねにその時代、その時代の最先端の機材を使って映画の表現を模索し広げていった、ということだ。
 それはムービーカメラがこの世に現れた時、撮影機材というものがカメラそのものしかなかった時代からそうだったのだ。

 (とりあえずメリエスの時代、終わり)


2006年11月22日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部