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モノラルのサウンドトラック


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 250 <フィルムとコマの話 その3> サウンドトラック

 映画はなぜ秒24コマなのか。

 そもそも、世界初のカメラ&映写機であるキネマトグラフは秒16コマであった。これは発明者であるリュミエール兄弟が実験を繰り返した結果。
 「これ以上遅くすると画面の明滅が見えてしまう」のと
 「これ以上早くするとフィルムがもったいない」(!)
 ということで決定したらしい。

 その後16コマ〜18コマ(制作者によって違っていた)での上映方式が30年ばかり続いた。
 映画はサイレント、つまり音もセリフもなく劇場には弁士と楽隊がいた時代である。
 しかし映画にも音とセリフが欲しい、となるのは当然の要求であり、光学式サウンドトラックという発明によって映画は一気にトーキー(注)の時代に突入していく。

 さてサウンドトラックとはなんであるか?
 写真を見てもらえばわかるが、これはフィルムの余白に焼き付けられた白黒の縞模様である。
 この地震計の記録のような縞々に光を照射してレンズで読み取るのだ。
 そして光量の変化が音の大小に、縞の細かさが音程になる。
 つまり縞の横幅の広い部分(明るい部分)は大きな音になり、縞々の間隔が細かい部分は高音になるというわけだ。

 フィルムに光を当てることで音が取り出せるというこの発明は、映画の大革新であるにもかかわらず技術的な大改革を要求しない素晴らしい発明であったと言ってよいだろう。
 なんと言ってもフィルムの材質、製法に手を加える必要がなく、サウンドトラックの入ったネガを一本作ってしまえば、あとはサイレント時代とまったく同じ現像システムでフィルムの複製が可能になるのだ。

 しかしそのような大発明にも一つだけ問題があった、それは「音が悪い」ということだ(大問題である)

 それは分解能が足りないということだった。つまるところフィルムの走行速度が足りないのである。

 VTRを思い出していただければわかるとおり、長時間モードは画質が落ちる。デジタル音楽だってサンプリング周波数が低ければ音質は低下する。秒16コマのスピードでは充分なクオリティの音が出せないのだ。

 改善策はただひとつ、コマ数を上げることだった・・というのが前回の「映画はなぜ秒24コマなのか?」の答えなのである。

 サウンドトラック、続く。


※注:トーキー<talkie>
TalkとMovieをくっつけた造語、文字通り「喋る映画」という意味である


2006年12月13日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部