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火薬の連続発火装置「シャミセン」の新型、筆者制作。

アクションとタイミングを合わせる時便利なように拳銃の形をしている(手元に注意を払わなくても引き金を引いていくだけで順番に発火していく)


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 252 <フィルムとコマの話 その5> マルチ・チャンネル

 サウンドトラック続き。

 当初モノラルだったサウンドトラックだが、そこは時代の要請でたちまちステレオになった。縞々模様が2列になったのである。

 そして70年代、オーディオ業界に4チャンネルステレオが登場してくると映画においてもより高い臨場感が求められるようになった。
 つまりマルチチャンネル化ということだ、しかしこれはそう容易なことではなかった。
 なんといっても、もともと音の記録のことなど考えてもいなかったフィルムにあと知恵で音を付けているのである。もはやサウンドトラックを増やす余地などない。

 ついでに言えば、映画の上映方式にはあまり画期的なものは導入出来ないということもあった。
 トーキーが誕生してすでに数十年、映画は娯楽として世界中に浸透しているのだ。小さな街にある小さな映画館も多い。改良されたからといって新設備をどんどん投入できる劇場ばかりではないわけだ。

 新システムを使った映画は最新のごく一部の劇場でしか上映できません、というのではそもそも映画会社が採用しないだろう。

 つまり映画のシステムには下位互換性、つまり新しいシステムを持っていればその恩恵を受けることが出来るし、なくても従来通りの上映が可能であるという仕組みが必要なのである。

 そこに答えを出したのが音響メーカーであるドルビーであった。ドルビー社は1975年、従来のステレオ用のサウンドトラックに左右、中央、サラウンドの4チャンネルを記録する方式を発明したのだ。
 この方式が優れているのは、このフォーマットで記録されたフィルムは2-4デコーダーという回路を通して再生すると4チャンネルになり、無ければ従来のステレオ(モノラル環境しかなければモノラル)として音が出るという仕組みであることだった。

 このシステムの音響特性改良版であるドルビーSRは、現在の映画の標準フォーマットとなっている。

 しかし前方3チャンネル、側面・後方をまとめて1チャンネルというのは現在のスペクタクル映画の音響として物足りないのは言うまでもない。
 当然のように更なるマルチチャンネル化が求められたが、もはやその実現にはアナログ技術では対応不可能だった・・という話は次回に。


2006年12月27日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部