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廃墟ではなく、爆破用の石膏ビルを後ろから見たところ


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 255 <フィルムとコマの話 その8> ポーランド

 「映画はなぜ1秒24コマなのか」

 これを説明しようとしてずいぶんと遠回りしてしまった。
 本道に戻ろうかというところで、面白い話を聞いたのでご紹介したい。


 「アヴァロン」(2001年/押井守監督)はポーランドで撮影が行われた作品である。「ロケに行った」というのではなく、監督他数名のみが現地に入り、役者もスタッフも全てポーランド人によって行われたという特異な作品だ。

 さてこの映画、劇中にコンサートのシーンがある。ワルシャワ・フィルハーモニック・オーケストラと男女混成コーラスによる壮大華麗な歌曲で映画のクライマックスとなる重要なシーンである。

 作曲は押井作品でおなじみの川井憲二。
 氏はこの曲をリアルタイムで一発撮り出来るように1000フィートフィルム(映画のフィルムとして一番長いロールである)におさまるよう作曲した。

 しかし現地カメラマンはこれは1000フィートにおさまらないと主張したのだと言う。
 川井憲二といえば劇映画を何本も作曲している一流の作曲家でありそんなことを間違えるはずもない。
 しかしポーランド人カメラマンもプロである、そんな基本で間違いがあるはずもない、よ〜く話しあってみたところ驚くべし、ポーランドでは1秒を25コマで撮影しているのだと言う。

 つまり日本側は1秒をフィルムの長さにして約1.5フィートと計算しているのに対し、ポーランドスタッフは1.6フィートとして計算しているのだ。これは1000フィートフィルム(約10分)に対して30秒近い差となってくる。噛み合わないのも無理はない。


 映画の秒24コマって世界標準じゃなかったのだろうか?
 ポーランド映画を日本で観ると動きが4%遅くなって、音程もずれるのだろうか??
 デジタルサウンドシステムはどうなってるのだろうか???
 この話を聞いて私はたいへんに驚いた。世界は広い。

 ・・と面白がってみせて終わりにすれば話は簡単なのだが、まあこれにはそれなりの事情があるんだろうな、という話を次回以降にしたいと思う。


2007年01月24日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部