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「異様な空間」撮影中、照明部の腕の見せ所。


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 259 <フィルムとコマの話 その12> キネレコ

 余談の続きだ。

 ハレの場である劇場であまりにも日常に密着したCMを流すことに問題はないのか? と前回は述べた。今回は画質の話をする。

 劇場で見るCMがいつもお茶の間で見ているようなハイクオリティなものとして観客に受け止められていればまだマシと思うのだが実はそうなっていないということだ。
 つまり劇場で見るCMは画質が悪い。

 行程のすべてをTV放映前提で進めているCMは劇場に流すからといって別バージョン(フィルムバージョン)を作れるような状況にはない。
 だから劇場に流すCMはTV用の原板をフィルムに焼き直して上映することになる。

 このビデオをフィルムに直す作業はキネレコと呼ばれる。

 そしてキネレコの画質は悪い、昔むかしTVモニターをそのままムービーカメラで撮っていた時代には走査線が大写しになってまるでスダレのようだった。

 以後レーザーで直接フィルムに焼き付ける方式、高画質な液晶を撮影する方式など改良がほどこされてマシにはなってきた(一部の劇場では、キネレコをせずともビデオをそのままスクリーンに投影する設備もある)しかしCMの標準的な納品形式であるD‐2ビデオの解像度は768×510、劇場の大スクリーンは最低でもハイビジョン並の解像度(1920×1080)のフィルムのためにあるわけで、絵が荒いのは隠しおおせようもない。

 ビデオ化する過程で切り捨ててきてしまったものを元の器に戻すというのにそもそもの無理があるのだ。

 また解像度とは別にビデオはダイナミックレンジが狭いので色調に深みがない。
 CMだけを見ていれば気にならないかもしれないが、何しろ劇場はその前後に予告編など映画クオリティそのままの映像が流されているのだ。

 家のTVで見たときはあれだけキレイだった景色が、あれだけ美人にみえたあの人が、大画面の大スクリーンで見るとまるで安っぽい薄っぺらいものに見えてしまう。

 だ・か・ら

 スポンサー様、映画並に手間暇かけて作ったCMを更に予算をかけてシネアドに流しても、これでは逆効果ですよ〜、やめたほうがいいと思いますよ〜。と主張したところで余談は終わり、次回テレシネに戻る。


2007年02月21日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部