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* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 268 <フィルムとコマの話 その21> 合成

 特撮には合成が不可欠だ、という話を前回した。

 ではこの合成とはなんであるのか?
 特撮におけるそれは何か秘技のようなものとして受け取られているかもしれないが、合成、その中でも数年前までは全盛であった「光学合成」はジョルジュ・メリエスもびっくりのローテクである(たぶんメリエスならほとんど説明もナシで理解してくれるだろう)

 それは一度撮影を行い、フィルムに映っているものの中の不必要な部分を黒くして、そのフィルムを別なカメラで再び撮影する、という技術である。
 メリエスが画面の一部に黒い場所を作り、そこに多重露光で別な映像(たとえば複数の自分)を写し込んだのと同様であると言っていいだろう。

 違うのはメリエスが最初から画面に黒い部分(未露光部分)を作っておいたのに対し、光学合成は撮ったフィルムとマスクフィルムを重ね合わせて再撮影するということだけだ。

 簡単な例を挙げて説明する。
 背景(たとえばビル街)の手前にそこに居ない人物を合成でハメ込みたいとする。

 まずビル街と人物を撮る。

 そして人物を撮ったフィルムを元に人物の形「だけ」が黒い(そのほかの部分は透明な)フィルム「オスマスク」を作る。

 オスマスクとビル街を重ね合わせて別なカメラで撮影すると、人物の形に未露光部分のあるフィルムが出来る。

 次に人物「以外」の部分が黒くなった「メスマスク」を作り、人物と重ね合わせて、先のフィルムでもう一度撮影する。

 1回目に未露光だった人型の部分に今度は人物の姿だけが露光され、現像してみればアラ不思議。ビル街に人物が居る映像の出来上がりというわけだ。

 理屈は簡単、メリエスなら説明ナシで理解できるというのがおわかりいただけたと思う。

 本筋とは関係ないがちょっとだけ付け加えると、この光学合成において肝要なのはオスマスクと人物(の輪郭)が寸分の狂いもないことだ。

 オスマスクが人物より大きければ、合成された時人物の回りに余計なもの(人物撮影時の背景)が写し込まれてしまうし、その逆では人物の輪郭が背景に浸食されてしまう。

 またオスとメスのマスクが正確に反転していることも重要である、さもないと人物の回りに黒い未露光部分が出来たり(←オスとメスが重なりあっている)、人物のまわりに2重露光の部分が出来たりする(←オスとメスの間に隙間がある)。

 またマスクの出来にバラ付きがあって、コマごとにこれらの現象が出たり消えたりすると、いわゆる「チリチリした輪郭」が出来てしまう。

 これらはすべて「マスクずれ」という・・・ ってなことを書いていたら長くなったので続きは次回に。


2007年04月25日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部