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ロケハンにて。
廃墟はひそかなブームのようだが、たしかにうち捨てられたものには心惹かれる(こともある)


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 273 <フィルムとコマの話 その26> 大判フィルムの効用について

 前回、映画『ブレインストーム』(1983年/MGM)において35ミリフィルムと70ミリフィルムを使い分け、画質の差を視覚効果として使ったという話をした。
 最終的に同じ35ミリのポジフィルムになるにもかかわらず、撮影フィルムが大判であることの利点はそれほどにも大きいのだ。

 だからこれが前々回に述べた「画質低下のリカバリー」に使えるというのも理解いただけると思う。

 大判のフィルム>35ミリに縮小=通常の35ミリ撮影より高画質

 ならば

 画質低下した大判フィルム>縮小=通常の35ミリの絵と差異がない

 という理屈である。

 この場合、当然ながら元になるフィルムのサイズは大きいほうが効果は上がる、というわけでダグラス・トランブルは多くの映画において65ミリフィルムを使用していた。

 《65ミリと言うのは聞き慣れない(というか聞いたことのない)サイズだと思うが、これは70ミリ映画の撮影用フィルムである。70ミリ映画にはサウンドトラックが6本もあるのだが、この部分は撮影する時には無用だ(以前−Roll 76−でも述べたが、ムービーカメラに録音機能はない)。そこで撮影は65ミリでおこない、サウンドトラックと共に70ミリの上映用フィルムに焼き付けられるのである》

 ところで、一口に大判フィルムと言っても、それはフィルムだけの問題ではない。カメラや各種レンズのラインナップ、現像所、編集機など一連の映画制作システムが背後に控えていなければ使えないのだ。

 スターウォーズではヴィスタヴィジョンが使われたという話もしたが、65ミリや、ヴィスタヴィジョンが使われるのはそれらが一時隆盛を誇ったシステムであり、廃れつつあるとはいえ掘り起こせば機材が揃っていたからに他ならない。

 結局この2つのどちらかしか選択の余地はなかったのだ。そしてSFXマンは65ミリ派、とヴィスタヴィジョン派の2つに分かれる。ではなぜ分かれていたのか、どちらがすぐれていたのか、という話を来週に。


※<フィルムとコマの話>を最初から読みたい方は →こちら 


2007年06月06日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部