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サイズ比較図

35ミリは手持ちのフィルムをコピーしてレタッチしましたが、65ミリは資料を見ての手描きです


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 274 <フィルムとコマの話 その27> 65ミリフィルム vs ヴィスタヴィジョン

 画質向上効果は65ミリフィルムとヴィスタヴィジョンのどちらが上か、という話の続きだ、あまりにも技術的な話なので簡単にまとめるが、

 実は「どっちだかわからない」!

 65ミリのほうがフィルムサイズは大きいが、カメラは大きく、重くてハンドリングが悪い。またレンズが小口径で暗いので被写界深度*(注)がない。つまるところ現場の作業性が悪いのだ。
 ということはヴィスタヴィジョン派は画質とのトレードオフで作業性を優先しているのか? という話になるが、必ずしもそうではなかった(ようだ)。

 ヴィスタヴィジョン派によれば35ミリフィルムはもっとも多く使われるフィルムであり、65ミリより種類が多く、撮影条件に最適なフィルムを選択できる、その利点はフィルムサイズという弱点をカバーしてあまりあると主張する。

 65ミリ派の主張が、最終的にモノを言うのはフィルムサイズであるというのは言うまでもない。

 こうなるともはや一観客にはわからない。同じ素材を65ミリとヴィスタヴィジョンで撮って見比べてみなければわからないが、画質向上効果のための大判フィルムの使用ということを日本ではやっていないのだ。

 私に言えることは、画質にこだわりのあるダグラス・トランブルは65ミリを使ってきたということであり、65ミリのほうが広い画面を使えるから好きだ、と言っていたということだけだ。

 信者としては、特撮の神様が言っているんだから間違いないんじゃないの? と思うのみなのである。


 *注:被写界深度
フォーカスは本来カメラから決まった距離にある一点にしか合っていない、しかしその前後には「フォーカスがあっているとみなして良い」範囲がある、この範囲が広いものを「被写界深度が深い」と言う。被写界深度はフォーカス面がカメラから離れるほど深くなり、レンズの焦点距離が短いほど深くなり、絞りを絞るほど深くなる。(Roll 218より)



 本物のジェット戦闘機を撮影した場合、コックピットにフォーカスを合わせたら尾翼がボケてしまったということはまずない。しかしミニチュア撮影ではこれは容易に起こりうる、もちろんそんな絵をスクリーンに大写しにしたら失笑ものだ。
 だからミニチュア撮影の場合、対象全部が被写界深度に入るまでライトをガンガンあてて絞りを絞るしかない、最初から暗いレンズはそれだけで不利になるわけだ。

 ライトをガンガンあてていたら熱でミニチュアが溶けてしまった(!)ということもある、これは撮影計画のミスである。
 被写体がカメラから離れれば被写界深度は深くなるので、ミニチュアを遠くから撮ればよいのだ、小さくなってしまうなら、大きなミニチュア(?)を作ればよい。
 『2001年宇宙の旅』でトランブルが使った宇宙船ディスカバリー号は全長16.2メートルあった(!!)

 画質の向上をめざすということは、特別な撮影機材を必要とする以外にも多くの予算を必要とするということだ。


※<フィルムとコマの話>を最初から読みたい方は →こちら 


2007年06月13日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部