* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number


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Roll 276 <フィルムとコマの話 その29> 光学合成の黄昏

 数回に渡って合成と画質の問題について語ってきた。
 合成というものは映画の歴史の始まりとともにあったものだ。

 劇映画の始祖はジョルジュ・メリエスだが、メリエスは多重露光による特殊効果を自分の映画の売りにしていた。多重露光とは合成そのものだ、つまり合成は映画の発生と同時に生まれ、共に発達して来たのである。

 さてメリエスが行った多重露光、これは光学合成の基本であり、以後100年合成とは光学合成の意であった。
 多くのSFXマンが光学合成の利点を生かし、その弱点を補う方法を模索してきたわけだ。
 ところが、それら多くの技法、長年の工夫は実はあっという間に過去のものになってしまった。
 画質低下という光学合成が本質的にかかえる問題や、それを克服するための工夫《大判フィルムによる画質向上効果》なども一気に昔話になってしまった。デジタル化の波がそれらを飲み込んでしまったのだ。

 スキャンされ、デジタル編集機という名のコンピュータに取り込まれた映像はデジタルデーターとして処理される。いまや合成といえばそれは当然のようにデジタル合成を指し、光学合成はアナログ、もしくはオプチカル合成と分けて呼ばれている。

 ほんのちょっと前までは、光学合成は光学ならではの味があるとか(安いとか)言われ、演出効果で使われることもあったが、今はほぼ廃れたと言ってよい。

 日本エフェクトセンターという会社がある。ゴジラの火炎、ウルトラマンの光線を作った会社と言えば理解いただけると思うが、日本の特撮映画の黎明期から存在する合成の大御所だ。
 その会社がもう使わないんだけどいらない? と言って光学合成のキモである線画台(合成素材を撮影するベース)をくれた時に光学合成は終わった・・・と私は思った。

 (この線画台はステッピングモーターにより、きわめて正確に物を移動、あるいは回転させることが出来る仕掛けであって、操演部的にきわめて有用な機械である)

 世界が一転するのにどのくらいの時間が必要だったのだろうか。

 続く。


※<フィルムとコマの話>を最初から読みたい方は →こちら 


2007年06月27日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部