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「飛び散る血」のテストをしています。

空気圧で血糊を飛ばします(今はテストなのでグリセリンのみ)まさしくスプラッシュ


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 278 <フィルムとコマの話 その31> アナログデーターと量子化ノイズ

 ところでこの話は一応「フィルムとコマの話」のうち、コマ数の話の一環なのだった。

 コマ数の話を離れ、フィルムの画質から合成の話になり、どうなっているのだ? と思っている読者があるかと思うが、というかあまりの回り道にそんなことを覚えている読者などもはやいないかとも思うが、ともあれコマ数の話なのだった。

 近くその本筋に戻る予定ではあるが、ともかくデジタル合成についてひととおりの話をしてしまおう。

 さてデジタル編集機、デジタル様の話だった。

 日本の特撮界ではついぞ大判フィルムによる画質向上効果が計られたことがなく、合成要素の増加は画質の劣化と直結していた。だから合成がデジタル化されたと聞いて、私がまず期待したのは、これで特撮の映像が奇麗になるということだった。

 絵をデジタルデータでハンドリングするからなにをしても劣化がない、と思ったのだがこれは情報がない時代のあまりにもナイーブな考え方だったようだ。

 つまりデジタルにはデジタルなりの画質劣化の要素があるということだ、そもそもフィルムをデジタルデーター化するだけで画質は劣化する。

 無段階で変化するアナログデーターをデジタル化するには、対象を分割して、それを数字に置き換える必要がある。これを量子化と言う。

 音楽CDでは、音を1/44100秒づつに分割して、分割した音の強弱を0から65536までの数字に置き換えている《サンプリング周波数44.1kヘルツ 16ビット》という言葉を聞いたことがあるかと思うが、あれはこういう意味だ。

 映像の場合は、まずは解像度*(注)を決め画面を分割する(目的によって解像度は違うわけだが780×480ドット=TVの標準規格である『D1』から4096×2160ドット=映画の最高クラスである『4K』など各種)
 次に各ドットの色を数値化する(R/G/B各色8ビットというのが標準だ)。

 なるべくこまかくサンプリングし、なるべく多くの段階に分けたほうが元データーに近いのは言うまでもないが、無段階に変化するものを、曖昧さのない数字に置き換える以上どうしても丸め誤差というものは発生する、これを量子化ノイズという。

 量子化ノイズは画質の劣化そのものだ。デジタルデーターはそのトバ口ですでに劣化が始まっているとも言えるわけだ。

 続く。


*注:解像度
解像度とは本来、画像をどれだけこまかく表現出来るかを示す言葉だ。たとえば1インチの間に何本の線を引くことが出来るかというような。(逆に、どれだけ細かく物を見分けることができるかを分解能と言う)。
したがって出力される対象を特定しない解像度と言うものはない。ない筈なのだがコンピューター業界では、画像をどれだけ細かく分割しているかという意味でこの言葉を使用している(私も同じ)。


※<フィルムとコマの話>を最初から読みたい方は →こちら 


2007年07月11日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部