写真
---> 拡大表示

ステッピングモーターをコントロールする仕掛け

アメリカには映画用の市販品がありますが
日本では工業製品をパーツで集めて自作するしかありません


* 連載フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 292 <フィルムとコマの話 その45> ショウスキャン登場

 ダグラス・トランブルが画質の向上を追い求め、最後に到達したのは映画を越えた映画「ショウスキャン」だった。
 これは70ミリフィルムを秒60コマで撮影/上映するシステムである。

 70ミリというのはフィルム面積が35ミリの数倍あり既存のシステムの中では最高級の画質を誇る。この70ミリフィルムを更に2.5倍の速度で上映するのだ。

 それによって何が向上するのか?
 まず言えることはそのコマ数によって、動きをより細かく分割できるということだ。
 1秒で1メートル動くものがあったとすると、今までの映画ではそれを24分割(1コマにつき4.2センチづつ動く)に分解していたわけだが、ショウスキャンではそれが60分割(1.7センチづつ)になる。動きは当然滑らかに見える。

 そしてここ数回に分けて言ってきたことだが、1コマあたりのシャッター速度が向上する。この場合シャッター速度が1/120秒になるわけだ、それによって1コマあたりのブレボケが低下する。
 これで映像のクオリティが向上しないわけがない。

 このショウスキャンが日本で初めて公開されたのは科学万博つくば85の東芝館だった。
 当時の謳い文句は「秒60コマの映像は人の中枢神経の反応速度を高め、観客は映像と現実の区別がつかなくなる」「神経に負荷がかかりやすいため、主観移動カットは意識的に短く使われている」というものだ。
 実際「健康に問題ある方のご鑑賞は云々」という注意がなされていた筈である。

 そんな大げさな! と思って観に行った私だが、実際上映後に少々めまいがした。それが「60コマ上映による中枢神経への刺激」だったのかどうかはさだかでないが、少なくともあまりの高精細な映像で目がくらんだということはあった。

 ものごごろついて以来数多くの映画を見てきて、映画の画質というものに特段の違和感を感じていなかったのだが、ショウスキャンを見ると、あ、映画って画面がボケていたんだ、と気付かされたのである。

 画面のすみずみまでクリアな映像はその持っている情報量が半端でなく、その過剰な情報に曝されると目と頭の処理が間に合わないという感じなのである。

 これは凄いものが出てきた、さすがトランブル! と思ったのだったが・・・という話は次回に。


※<フィルムとコマの話>を最初から読みたい方は →こちら 


2007年11月21日掲載

<--Back     Next-->

今日もカメラは回るの目次へ--->



Copyright :
マカロニ・アンモナイト編集部