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* 連載フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 293 <フィルムとコマの話 その46> ブレインストーム再び

 70ミリフィルムを秒60コマで上映する超高画質上映システム「ショウスキャン」
 そのハイクオリティな映像は観客に新次元の映像体験を与えてくれるものだった。

 考案者であるダクラス・トランブルは世界各地にショウスキャン劇場を作り、映画と並ぶ(取って代わる?)エンターティメントとして売り出したかったようだが、それはなかなか難しい道だった。

 さて以前トランブルが監督した『ブレインストーム』(1983年/MGM)という映画の話をしたと思う。
 人間の思考・記憶・感覚をすべて記録し他人に再体験させることの出来る装置をめぐるお話だが、その際この「知覚伝達」がまったく新しい体験であることを観客に伝えるため画質の差が利用されていたと説明したはずである。
 つまり知覚伝達シーンだけを70ミリフィルムで撮影し(35ミリに縮小焼き付けし)画質を向上させて『なんか違うぞ』という感覚を観客に与えたというわけだ。

 しかし、これはもともとトランブルがショウスキャンの啓蒙映画として企画していたものだった。
 それも「どうですショウスキャン映像は奇麗でしょう」ということではなくちょっとした「仕掛け」のある映画になる筈のものだった。

 どういう仕掛けかというと、まず「現実」のシーンではショウスキャンカメラを本来の半速である秒30コマで撮影するのだ。
 これをそのまま秒60コマのショウスキャン映写機にかけたのでは2倍の早送り映像にになってしまうので、そうならないよう1つのコマを2つづつ焼き付けて上映プリントを作る。
 つまり11223344とコマが続くということだ(これは「コマ伸ばし」と言って本来はスローモーションでない映像を倍速のスローに見せかける技法である)

 するとどうなるか? 
 秒30コマで撮影したフィルムを2コマづつ秒60コマで上映すれば、それは秒30コマで撮影し秒30コマで上映したのと同じ結果になる、観客はこれを「普通の」70ミリ映画として違和感なく見始めるだろう。

 そして「これこそ見せ場!」という知覚伝達シーンになるとフルスペックのショウスキャン映像になるのである。

 画面がいきなりクリアになるこの変化に観客は衝撃を受けるに違いない。それはフィルムサイズによる画質の向上などというレベルではない。映画が本質的に持っていたブレボケ、動きボケを改善してみせる新次元の高画質化なのだ。

 今こうして書いていてもブレインストームをショウスキャンで観てみたかった! と思わざるを得ない。

 トランブルもどんなにかそう願ったことだろうが、映画会社からのゴーサインは出なかった。

 続く。


※<フィルムとコマの話>を最初から読みたい方は →こちら 


2007年12月05日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部