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横浜・赤レンガ倉庫前でモーションコントロールカメラの準備中。
奥のほうに居るのは仕出しの皆さんです。


* 連載フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 294 <フィルムとコマの話 その47> ショウスキャン転進す

 ショウスキャンがなかなか広まっていかなかった、という話を続けよう。

 改めて言うまでもなく映画製作はハイリスク・ハイリターンなビジネスである(作品がコケて資金の回収に失敗すると映画会社の存続にかかわる事態にまで発展しかねない)。
 世界の津々浦々に無数の映画館があるという現状ですらそうなのだから、上映館のほとんどない新システムに資金を投入する映画会社がほとんど/全然なかったのはむしろ当然かもしれなかった。

 もちろん映画は過去に何度も技術革新がおこなわれている。
 モノクロからカラー、サイレントからトーキー、さらにステレオ、サラウンドの導入などがそれだ。しかしそれらはすべて下位互換であった。つまり新システムを導入した映画館ではその恩恵を受けることが出来るし、そうでなくてもそれなりの上映、鑑賞が可能であるという仕組みだ(「ノンモン」などはそのムリヤリな下位互換が生んだひずみである)。
 つまるところ「新システムが無ければこの作品は上映出来ません」というような大改革を映画界は嫌うのである。

 結局、作品が無いので劇場は増えず、劇場がないので映画が作れないというどうどう巡りからショウスキャンは抜け出ることができなかった。

 映画会社の首脳や、あるいは劇場主を説得すべく世界中を飛び回っていたトランブルだったが、ついに映画の製作をあきらめて新たな道を歩き始めた。博覧会やテーマパークの体感シアター、シュミレーションライドの製作である。

 これらの映像は劇映画と違って一品生産であり、たいていの場合一ヶ所のみで上映されるものだ(そのかわりに映画などより遙かに長く、テーマパークだとそれこそ何年も、使われる)。
 つまりショウスキャンの弱点である「上映出来る劇場の数が少ない」という事は問題視されないのだ。

 求められるのは目を惹く映像だけ、そしてもちろんそれに関しては最高品質である自信がある・・・というわけでトランブルはモーションライド(映像に合わせて椅子が動くアレですね)の製作にも乗りだし、ショウスキャンは体感シアターのソフト・ハードをまとめて提供する会社となった。

 しかしそこは数多くのライバルがひしめく激戦区だった。


※<フィルムとコマの話>を最初から読みたい方は →こちら 


2007年12月19日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部